黒魔術-Dark Majic- /Part4 復活のシジルさん
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れ」
お礼をしてくれるというクリスに少しばかり安らぎを感じた。
「だからまた奢ってほしい」
「もう抉らないで!俺の財布はもう0よ!?」
素直にお礼を言ってくれて癒しを覚えつつも、そうしてくれないと割に合わないと思ったサイトは頷くが、財布の中身のない彼にとって刀のように鋭い言葉で追い討ちをかけられた。満面の笑みだからなおタチの悪さを覚えた。
一方、タバサは身の丈ほどの杖を片手に一人夜の学校にいた。これまで発生した悪魔の影による連続失踪事件の原因が、自分達の校内の関係者によるものと考えた。今夜もここで誰かが悪魔を呼び出す儀式を行うはず。そこを直接叩くことで、新たな犠牲者を防ぐことができる。
急いで、かつ焦りすぎず覚られないように犯人を突き止めなければ。
「…聞こえる」
耳を澄ませ、闇に包まれた校舎内の音を聞き分ける。いつになく学校の夜の闇が、深く不気味さを増しているようだ。でも、この静けさは音を聞き分けやすくしてくれる。タバサは聞こえてきた音と、この不気味な空気の流れの出所をたどっていく。
(…ガラスが割れている)
これも儀式の一環だろうか。道行く廊下の窓ガラスも無残にひび割れている。薄暗い廊下を歩き、彼女はある場所を突き止めた。
そこは音楽室。作曲家の絵が壁に立てかけられ、夜な夜なそれらの絵の人物の表情が変わるなどの怪談話で持ち上がる。その教室の扉の隙間から、わずかに明かりが差し込んでいた。
タバサは音を立てないように扉の隙間を覗きこんだ。
「あと一回、あの場所に誰かが来さえすれば、あのお方が…シジルさんがこの世に降臨できる!そうすればあの忌々しいキュルケを消せる!それなのにあいつら…」
床に描かれた五芒星を囲って、三人の女子生徒たち、そして男子生徒一人が揉めていた。今の声の女は見覚えがある。トネー、キュルケに恨みを持っている女子生徒だ。
「なんで邪魔されないといけないの!あたしたちは害悪を消すためにこの力を使っているのに…なんで邪魔されなくちゃいけないわけ!?」
「やっぱやめようよ!あの子が消したいって言ってた子、キュルケみたいなことする子でもなければなにも悪いことしてないじゃない!」
「うるさいわね!そんなのキュルケを消すことさえできればどうでもいいわ!キュルケさえ、キュルケさえ消えれば…私たちは…!そのためなら、どんな手を使ってもいい!邪魔をする奴らも全部あいつの同類として消してやるわ!!」
女子生徒の一人が、さすがにこれ以上は不味いのではと思ったのかトネーを引き留めようとするも、キュルケに対する怒りが相当なためか全く収まろうとしなかった。
「トネー…」
「僕もここにきてやめるなんてできない。僕にだって排除したい奴がいるんだ!
タバサは、この僕になめた真似をしてくれた報いを受けてもらわないと…
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