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徒然草
147部分:百四十七.灸治

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百四十七.灸治

                   百四十七.灸治
 お灸の痕が身体中にある人はそれだけで穢れがありますのでそういう人は神に仕える行事を慎まなければいけないという人がいますがそうした説は近頃誰かが言い出したことであります。冠婚葬祭について書いた式典にもそうしたことは書かれていません。
 思いますに別にお灸の痕があったとしても別に構いません。それが穢れかといいますとそうは思いません。あくまで個人的に思うことでありますがそれは穢れなのでしょうか。穢れであると言われましてもそうなのだろうかと思ってしまいます。むしろそうした主張は間違っているのではないでしょうか。お灸というのは身体のコリを飛ばす為のものであり穢れでも何でもありません。むしろコリをそのままにしておく方が問題であり置いておくと身体にいいことはありません。それで何故そんなことを言うのか理解に苦しみます。こうしたことを言い出した人は誰なのかといいますとやはり物事をわかっていない人ではないでしょうか。昔の人でもお灸の痕が残っている人なぞ幾らでもいましたが皆行事を見事に務めてきています。それがわからないでこんなことを言っているのでしょう。まことにおかしな話でありまして首を傾げてしまいます。言い出した人がおかしいのでこうした話は後には残らないでしょう。ただどうもおかしいことなのでこうして書き残しておきました。これを読んだ人がどう思うかはその人に任せておきますが。それにしても甚だおかしなことを言う人も世の中にはいるものであります。


灸治   完


                 2009・10・8

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