146部分:百四十六.明雲座主
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百四十六.明雲座主
百四十六.明雲座主
明雲の住職殿が人相見の人に対して自分はまさか武具やそういったものにまつわる災厄と関わりがあるのだろうかと真剣な顔で尋ねました。すると人相見の人は仰る通りでその相が出ています、と答えました。住職殿はそれを聞いて驚いて一体どんな相が出ているのだと問い詰めましたところ人相見の人は武士ではないので戦で怪我をするような恐れのない御立場であられるのに例え妄想であってもそうした心配をされて私に訊ねてくるのですからこれはもう何よりもはっきりとした危険な証拠です、と答えました。
人相見の人の言葉はその通りだったのでしょう、やはり明雲の住職殿は後に矢に当たって死にました。こういうことを考えますとその立場にはない妙なことを想像するということ自体が災厄の元なのでしょう。住職殿はそうしたことを思われましたので結果として矢に当たって死んでしまいました。住職殿には予見するものがあったのかも、とも思うのですがそれよりもそうしたことを考えること自体が災厄の元なのでしょう。結果として住職殿は矢に当たり死んでしまっています。まことに世の中というものは奇妙なものであります。そのことを思うとそうなってしまうのですから。これは何も生き死にだけのことではありませんので注意が必要であると存じます。思わなくてもいいようなことを思ってしまうということはそれ自体が何かしらの危険な前触れであります。そのことも踏まえて注意していきたいものです。とはいってもそう思うことをかわすことはかなり難しいことなのではありますが。まことにこの世は不思議なことがままにしてあります。
明雲座主 完
2009・10・7
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