第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
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でも、いくつもの世界を観測するだろうに、そんな個人単位まで見るか……?)」
動向を見るなら、それこそ世界規模でも十分だ。
影響が少なければ何の異常も起きず、その時点で観測には十分だからだ。
「(いや、僕の憶測と実際の神の観測方法が違うだけかもしれん。深く考えても仕方ないな)」
しかし、それは結局根拠も薄い推測でしかない。
そのため、余分な思考として優輝は切り捨てた。
「あの、私を転生させたって……」
「はい。その通りです。……すみません、他の神々は直接応対していたようですが、貴女の場合は精神が不安定だったのもあって……」
「いえ!別に、そんな……」
司も祈梨も丁寧な物腰なため、お互いに遠慮したような態度を取る。
「……一つ聞いていいか?」
「何でしょう?」
「そっちのソレラという神は、今魅了に掛かっているのか?」
「っ、そうだ……!聞かせてくれ…っ、いや、聞かせてください……!」
埒が明かなさそうだったため、優輝が一つ気にしていた事を尋ねる。
神夜も気になったのか、思わず身を乗り出して便乗する。
その際、相手が神なため、言い直すように敬語にしたが、優輝は別に敬語を使っておらず、祈梨もまたそこまで気にしていないため、その必要はない。
「ああ、その事ならとっくに解除されています。……どうやら、貴方も自覚して猛省しているようですね。せっかくです。封印を強化しておきましょう」
「……上辺だけじゃなく、しっかりとした封印か?」
「はい。その封印です」
以前優輝も言っていた、能力を機能させなくする封印。
それを、祈梨は神夜に施すようだ。
「………終わりました」
「早っ」
少し祈る。それだけで、神夜は少しばかり淡い光に包まれた。
あまりの呆気なさに、思わず葵が声を上げる程、すぐに終わった。
「実感はないんだが……」
「元々自覚なしの力ですから、実感がないのも仕方ありません」
「そうか……」
それでも態々嘘をつく事もないだろうと判断し、魅了がもう発動する事はないのだと、神夜は安堵した。
「……優輝、そろそろ本題に入りなさい」
「そうだな」
椿が口を挟み、本題に入るように促す。
優輝も同意し、改めて祈梨と向き直る。
「……何があって、この世界に現れたんだ?」
「………」
優輝が切り出したその質問に対し、祈梨は考え込むように目を瞑る。
そして、間を置くように、椿が淹れておいたお茶を飲み、返答を返した。
「―――神界において、大規模の戦いが起きました。このままでは、神界のみならず、ありとあらゆる世界が“闇”に包まれます」
そう言っ
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