第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…そして。
「―――そこまでですよ」
司の祈りを打ち消すかのように、司の目の前で光が弾ける。
まるで弾かれたように司は祈りを中断させられ、顔を上げる。
同時に、吹き荒れていた魔力も収まる。
「あっ……!」
「いつの間に……!」
そこでようやく、優輝以外もその存在に気付いた。
「あ……」
司の祈りを止めた存在。
それは、つい先ほどまで眠り続けていた巫女服の女性だった。
まだ回復は仕切っていないようで、立ち上がってはいるものの、ふらついていた。
「これ以上は、魂が持ちません」
「目が、覚めたのか」
「おかげさまで」
唐突な事に戸惑う皆の代わりに、優輝が問いかける。
「だが、もう一人は……」
「まだのようですね。ですが、それも仕方ありません。私は彼女を、司さんを転生させた者だからこそ、彼女の動きに気付き、目を覚ましたのですから」
もう一人の少女の方はまだ目を覚ましていなかった。
女性の方は司の力に反応して目を覚ましたのだった。
「………どうやら、世話になったみたいですね。場所を一旦移しましょう」
「分かった」
優輝達を見回し、女性はそう提案した。
話し合いのために、一度客間から居間に移動する。
「さて、まずは名前ですね。私は“祈梨”と言います。察しているかと思いますが、神の一人です。……貴方方の事は存じています。転生者の皆さん、そして式姫のお二方」
「祈梨……聞いた事がないわね……」
「はい。私は世界に存在するどの神話にも属しませんから。名前も、飽くまで区別するために付けたものが大半です」
響きからして日本の神だと思われる名前だが、同じ神である椿には覚えがなかった。
当然だ。地球どころか、どの次元世界の神話にも属さないのだから。
「未だに眠る彼女は“ソレラ”です。……優輝さん、帝さん、神夜さんは見覚えがありますよね?」
「僕らを転生させた神だからな。さすがに覚えている」
優輝の言葉に帝も、少し離れた位置にいる神夜も頷く。
「存じ上げている、と言う事は……」
「私達神々が本来いる世界、“立体交差多世界観測神界”……通称“神界”から、貴方達の事を観測していました。転生者なので、世界にどんな影響を及ぼしてしまうかの動向をある程度見ておくべきだったのです」
「……だから、私達を知っているのね」
祈梨の言葉に、椿が納得したように頷く。
だが、対照的に優輝は何か引っかかったような表情をしていた。
「(転生者が世界にどんな影響を及ぼすか……で、動向を見るのはそこまでおかしくはない。……
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ