第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
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脳裏に浮かんできたのが巫女服の女性だと分かった事で、先程よりも集中出来た。
「ッ……掴めた……けど、魔力が足りない……!」
少しして、何かが自分の中で変わる感覚を感じる。
だが、たったそれだけで魔力が足りない事が分かってしまった。
「ジュエルシード……!」
すぐさまジュエルシードが司によって呼び出される。
クロノ達が持っていき、既に管理局に保管し直されたものだが、天巫女である司の呼びかけにすぐに次元を超えてやってきた。
……管理局涙目な状況なのは、余談である。
「うお……!?」
「きゃっ……!?」
直後、魔力が司から吹き荒れる。
まるで嵐のように吹き荒れ、周囲の軽いものは吹き飛ばされる。
「っ、ぁ、ぁぁあ、あああああああ………!!」
その中心にいる司も、“格”を上げる行為に声を上げる。
「(苦しい……だけじゃない……!魂が軋むって、こんな感覚なの……!?)」
痛い。苦しい。……それだけじゃない。
まるで体が膨らむような圧迫感もあれば、逆に圧縮する圧迫感もある。
四肢が千切れそうなぐらい引っ張られる感覚もあった。
その他にも、吐き気や頭痛、眩暈もした。
「はぁ……はぁ……はぁ……!」
苦痛の類だけではない。
魂が軋む感覚と共に、確かに自分の“何か”が変わっていた。
それは力の奔流となり、司の体を駆け巡る。
そして、司はそれを歓喜、高揚、快楽として感じ取っていた。
「ぁあ……!ぁあああ……!」
「つ、司……?」
「司ちゃん……?」
苦悶の声に交じって艶やかな声が漏れる。
明らかにおかしくなっていくその様に、椿と葵が心配する。
二人だけでなく、奏や帝、神夜も心配していた。
……帝と神夜は司の声に若干気まずそうにもしていたが。
「ッ―――!」
椿と葵の声が聞こえたのか、司は歯を食いしばって声を抑えた。
そして、祈り続ける。
魂が軋むその感覚に耐え、祈りだけは持続させていた。
「(も、もう少し……!)」
〈マスター……!〉
「もう、少し……!」
体を駆け巡る、あらゆる感覚は、怒涛の情報量となって精神をも苛む。
長時間それが続けば、正気すらも失う程だった。
それでも司は続けるため、シュラインが思わず心配する程だった。
「……司」
その様子を見ていた優輝が、これ以上は司が持たないと判断する。
そして、中断させようと魔力が吹き荒れる中近づこうとして……。
「ッ!」
……“それ”に気付く。
魔力が吹き荒れていた事で、優輝は気づくのに遅れていた。
他の者に至っては、司に注目しているために気付いてすらいない。
…
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