暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
[4/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
脳裏に浮かんできたのが巫女服の女性だと分かった事で、先程よりも集中出来た。

「ッ……掴めた……けど、魔力が足りない……!」

 少しして、何かが自分の中で変わる感覚を感じる。
 だが、たったそれだけで魔力が足りない事が分かってしまった。

「ジュエルシード……!」

 すぐさまジュエルシードが司によって呼び出される。
 クロノ達が持っていき、既に管理局に保管し直されたものだが、天巫女である司の呼びかけにすぐに次元を超えてやってきた。
 ……管理局涙目な状況なのは、余談である。

「うお……!?」

「きゃっ……!?」

 直後、魔力が司から吹き荒れる。
 まるで嵐のように吹き荒れ、周囲の軽いものは吹き飛ばされる。

「っ、ぁ、ぁぁあ、あああああああ………!!」

 その中心にいる司も、“格”を上げる行為に声を上げる。

「(苦しい……だけじゃない……!魂が軋むって、こんな感覚なの……!?)」

 痛い。苦しい。……それだけじゃない。
 まるで体が膨らむような圧迫感もあれば、逆に圧縮する圧迫感もある。
 四肢が千切れそうなぐらい引っ張られる感覚もあった。
 その他にも、吐き気や頭痛、眩暈もした。

「はぁ……はぁ……はぁ……!」

 苦痛の類だけではない。
 魂が軋む感覚と共に、確かに自分の“何か”が変わっていた。
 それは力の奔流となり、司の体を駆け巡る。
 そして、司はそれを歓喜、高揚、快楽として感じ取っていた。

「ぁあ……!ぁあああ……!」

「つ、司……?」

「司ちゃん……?」

 苦悶の声に交じって艶やかな声が漏れる。
 明らかにおかしくなっていくその様に、椿と葵が心配する。
 二人だけでなく、奏や帝、神夜も心配していた。
 ……帝と神夜は司の声に若干気まずそうにもしていたが。

「ッ―――!」

 椿と葵の声が聞こえたのか、司は歯を食いしばって声を抑えた。
 そして、祈り続ける。
 魂が軋むその感覚に耐え、祈りだけは持続させていた。

「(も、もう少し……!)」

〈マスター……!〉

「もう、少し……!」

 体を駆け巡る、あらゆる感覚は、怒涛の情報量となって精神をも苛む。
 長時間それが続けば、正気すらも失う程だった。
 それでも司は続けるため、シュラインが思わず心配する程だった。

「……司」

 その様子を見ていた優輝が、これ以上は司が持たないと判断する。
 そして、中断させようと魔力が吹き荒れる中近づこうとして……。

「ッ!」

 ……“それ”に気付く。
 魔力が吹き荒れていた事で、優輝は気づくのに遅れていた。
 他の者に至っては、司に注目しているために気付いてすらいない。

 …
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ