第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
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元々あやふやな感覚だったもの。
それを明確に思い出そうとするのは難しい。
「……司、無理しなくてもいいのよ」
「ううん……もうちょっと頑張れば……!」
椿が気遣って声を掛ける。
だが、司はまだいけると、再チャレンジする。
「(……あ……)」
その時、ふと神二人が目に入る。
もし“格”を上げられたら、すぐにでも解析が出来るように、同じ部屋にいたのだ。
そのため、視界に入るのはおかしい事ではないが……。
「ぁ、ああああああ!!」
その二人、厳密には巫女服の女性の方を見て、司は声を上げた。
「ど、どうした!?」
「も、もしかして……!」
驚く帝や神夜達。
そんな周囲の反応を無視して、司は巫女服の女性に駆け寄る。
「や、やっぱり……!」
「いきなりどうしたのよ?」
「この人……多分、私を転生させた神様……」
記憶にないのに、朧気に脳裏に映る姿。
その姿に、巫女服の女性はそっくりだったのだ。
よく見れば、自分にも似ていた。
「そうなの?」
「あ、でももしかしたら違うかも……でも、私に関係があるのは確かだと思う……」
「……なるほど。確かにそれは言えるな」
何度も脳裏に過るのだ。無関係な方がおかしい。
優輝も、改めて女性と司を見比べて納得したように呟いた。
「まるで司を成長させたような容姿だ。双子程ではないが……例えるなら、“少し似ていない姉妹や親子”ぐらいには似ている」
「また微妙な例えだな……まぁ、確かにそんな感じだが」
以前襲撃してきた男と違い、優輝達はそこまでそっくりだとは思っていなかった。
だが、確かに女性と司は容姿が似ているのだ。
「司、目を閉じて見ろ」
「え?こう?」
「……似ているわね」
「そうか。俺達が見た時、そんなそっくりだと思わなかったのは、目を閉じていたからか。なるほどな……」
目を閉じているかいないかで、所謂表情も違って見える。
そんな些細な違いで、今まで誰も気づいていなかったのだ。
「でも、どうしていきなり?」
「……さっきから、イメージする時にちらついてて……」
「それで視界に入った時、その脳裏に過った姿と一致すると気づいたのね」
記憶になくても会ったとするならば、心当たりは一つしかない。
そう思って、司は巫女服の女性が自分を転生させた神様だと思ったのだ。
「……まぁ、一致したのはいいけど、本題の方はどうなのよ」
「あ……。ごめん、つい気になったから……でも、これで気になってた事はなくなったし、さっきより集中できるよ」
椿の言葉に、司はそう返して祈りを再開する。
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