第6章:束の間の期間
第196話「試行と目覚め」
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にその違いを近くするのは、労力に見合わないんじゃないか?」
大人しくしていた神夜が呟くように尋ねる。
それに対し、優輝がまず前提として考えている事が当てにならないと言う。
「って事は、手詰まりかよ!?」
「……そうか……」
帝が驚き、神夜は再び傍観に戻る。
神夜は、今までの事が間違いだった事もあり、ほとんどの行動が消極的になっていた。
そのため、お互いに刺激しないように大人しくしていた。
「……感覚……漠然となら、わかるのかしら……?」
「奏ちゃん?」
その時、奏が呟くように発言する。
「暫定的に言っていたとはいえ、“格”が違うのは、何となく分かっていたわ。雰囲気と言うか、そういうので自分とは違うと……違うかしら?」
「あ……確かに。あの時襲撃してきた敵も、後神降しした優輝君も何となく違うって……」
「あー、確かに人間と転生時に会ったあの神様とじゃ、違うってわかるなぁ……」
感覚と言うよりも、本能に近い。
そんな感じで、“格”と言うものを感じ取っていた。
それを司達は思い出す。
「……でも、そんな漠然とした感覚で……ううん、これしかないんだよね。だったら、試してみるよ。えっと……」
具体性なんて一切ない、感覚だけでの力の行使。
成功するとは思えないが、少しでも成功率を上げるため、司は祈る。
頭に思い描くのは、神降しをした優輝、以前襲撃してきた男。
また、他にも何かに乗り移られていたなのはと奏と……
……覚えのない、自分に似た女性。
「ッ……!?」
一瞬脳裏を過ったソレに、司は困惑して祈りが中断される。
「どうしたの?」
「……う、ううん。もう一回やり直すね」
椿に何事か心配され、司は気を取り直してやり直す。
さっき思い浮かんだ女性の事は、気のせいだと思って。
「(っ、また……!)」
だが、またもやその女性の姿がちらつく。
姿が朧気なせいで、漠然と自分に似ているとしか分からない。
そして、それ以上になぜ記憶にないのに思い浮かぶのかが不可解だった。
「(集中……!)」
それでも、集中しなければ。
そう思って、司は祈りに専念しようとする。
「(思い出す……私達とは違う、“格”の違いを、その雰囲気を、感覚を……!)」
これが、他の転生者なら、少しはマシだったかもしれない。
司以外は、皆転生の時に神に会った記憶があるからだ。
唯一司のみ、その時の記憶がない。
そのため、わかりやすい対象がいないのだ。
一応神二人がいるが、今も眠っているために当てにならなかった。
「(ッ……上手く、思い出せない……!)」
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