145部分:百四十五.御随身秦重躬
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百四十五.御随身秦重躬
百四十五.御随身秦重躬
御随身である秦重躬殿は上皇の警護をされている方でした。この方が御所を警護する武士であられた下野入道信願殿に落馬の相が出ています、充分に用心されることですと忠告しました。とうの信願殿はそれを聞いてもどうせ当たりもしない占いだろうと内心馬鹿にしていたのですがその後で本当に落馬してしまいそれによる怪我で死んでしまいました。人々はその話を聞いてこの道何十年の道の人の言うことは神がかっているものだと感心したという次第であります。
そこである人が信願殿には一体どんな相が出ていたのかと尋ねたところ重躬殿は安定感のない小さくしかも柔らかい尻の人なのにそれでいて跳ね癖のある馬が好きな人でした。それで落馬の相を見つけたのです、何か間違っているでしょうかと答えたそうです。そうしたところからもわかってしまうものなのである。ただ単に見られるというものではありません。そうしたことは自然と行動に出てしまうのでしょう。落馬の相にしても考えてみますとその行動に自ずと出てしまうものです。敵の多い人に剣難の相が出てしまうことと同じなのでしょう。まずその行動からわかってきます。何もなくてただ相が出るというのではありません。必ずそこには何らかのものが事前に出てしまいます。そのうえで見ていくとわかりやすいということなのでしょう。物事は既に出てしまっているのです。そのことはよく踏まえて何事も見ていきたいものです。そうすればありとあらゆることが容易にわかってことを進めていくことができます。
御随身秦重躬 完
2009・10・6
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