第五章
[8]前話
「これは」
「不思議だ」
これが剣の返事だった。
「心地よい、後ろに自分を頼りにしてくれる者がいると感じて」
「剣は。武器は持たれてね」
そうしてとだ、雪路は剣に告げた。
「はじめて武器となるのよ」
「剣にもか」
「持たれていなければね」
「例え魂であってもか」
「武器、剣でないのよ」
「その剣となったことをか」
「知ることがなかったのよ、貴方はね」
雪路は剣にさらに話した。
「その感情を知らなかったのよ」
「持たれ頼りにされて本当の意味で剣になったということをか」
「そうだったのよ、けれどこれでわかったわね」
「わかった、そしてだ」
そのうえでとだ、剣は雪路に答えた。
「満足した」
「ではもう闘うことは」
「しない、私は知ることが出来たのだからな」
こう言うとだ、剣は気配を消した。以後は喋ることなく静かになった。
こうして剣の事件は終わり二人はその剣をマダガスカルの博物館に自分達の素性を明かしたうえで渡した、その際剣にもう二度と闘わないということも約束させ剣も自分を造り出した刀鍛冶と自身が剣であるということに誓って約束した。
剣は名剣として博物館に留まることになった、こうして雪路の神託は適い。
宮子と共に博物館を後にした雪路の右手にあるものが宿った、それは何かというと。
ナックルだった、雪路はそのナックルを手にしつつ共にいる宮子に話した。
「オリハルコンナックルね」
「雪路ちゃんの新しい神具だすな」
「今心の中でそう告げられているわ」
「そうだすか」
「カイザーナックスは気を操って」
そしてというのだ。
「オリハルコンナックルは光よ」
「それを操るのね」
「そしてカイザーナックルと同じく」
「格闘戦で絶大な力を発揮するだすな」
「私の力をかなり増大させてね」
「これで雪路ちゃんはさらに強くなっただすな」
このことを理解してだ、宮子も笑顔になって述べた。
「そうだすな」
「そうなったわ、じゃあね」
「その力で世界を救う」
「その為にね」
まさにと言うのだった。
「次の場所にね」
「行くだすよ」
宮子はスリックの顔を笑顔にさせて雪路に応えた、雪路は彼女に笑顔のまま頷いて返してだった。そうして次の場所に向かうのだった。
妖剣 完
2019・2・17
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