ターン4 荒波越える五星たち
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ならない。ただデュエルが始まったばかりのこのタイミングで実は情報が洩れて潜入者が公僕から入り込んでいたため全試合中止、ともなれば払い戻しにより生まれる損失は計り知れず、なによりも今後裏デュエルコロシアムを開く際のグループとしての信用問題にも大きく関わってくる。このまま踏み込まれて実害が出るよりも先に、彼らは「侵入者」を排除して全てを握りつぶすつもりなのだ。
もちろん、妨害電波を出したまま入り込めば遅かれ早かれこうなることは彼自身よく承知していたし、むしろそのために苦労して入り込んだのだ。それでもこの的確な早期対応を目の当たりにして、「BV」案件の根の深さを痛感する。
「……オイ!オイ、聞いてんのかこのもやし野郎!」
そこまで思考したところで、ようやく目の前で叫んでいる男の存在に気づいてようやく自分もデュエルの最中だということを思い出す。周りを見れば、すでに他のリングでも一時のパニックは落ち着き試合が再開されていた。ここでいつまでも固まっていては、かえって怪しまれるだろう。
『なあに、いざとなったらアタシもいる。めったなことにはならんようにするさ。だからそっちはあれだ、いらんことは任せて目一杯暴れてこい』
そう言って笑った女上司の顔を思い出しつつ、フィールドに目をやる。セットモンスター1体に、伏せカード1枚。その見かけに反して随分と静かな滑り出しだが、だとしても彼に支障はない。
「……コホン。『本日こちらの会場にお集まりの皆々様、これより目くるめく世界へとご案内するショーの開演をお知らせいたします』」
「は、はぁ?」
がらりと雰囲気の変わった対戦相手に不気味さを感じ、やや引け腰になる山形。しかし彼に言わせれば、観客のノリが悪いからといって思考停止でファイトスタイルをマイルドなものに切り替えるのは2流のやることでしかない。
まずはやりきること。それでまだノリが合わないようなら、その時にアドリブでどうにかすればいい。
「『この大観衆を前に先陣切って皆様にご挨拶するのは、怪力無双の剛腕の持ち主……レフトPゾーンにスケール1、魔界劇団−デビル・ヒールをセッティング!』」
先日の卓上デュエルとは異なり、今回はソリッドビジョンによる視覚効果をフルに利用することができる。勢い良くカードを置いた彼の左手に光の柱が立ち、その中央では1、と書かれた数字の上に腕を組んで仁王立ちする青黒い体に太い腕を持つ巨漢の演者。
「ペンデュラム、それも【魔界劇団】か」
「『ご明察。それではここでもう1人、目くるめく世界への案内人に登場していただきましょう。ライトPゾーンにはスケール8、誰もを笑わす最高の喜術師。魔界劇団−ファンキー・コメディアン!』」
その言葉に反応したかのように、彼の右手側にも光
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