ターン4 荒波越える五星たち
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い緊張からくる怯えの色が見え隠れしている。場慣れしていないいかにもな素人だと結論付け、そのまま緊張していろとばかりに自分たちを見つめる観衆の視線に軽く手を振って応えることで自分の余裕を見せつけておいた。実際彼にとってはこの程度の緊張感、むしろ本調子を出すためのスパイス程度にしかなりえない。そう自らを鍛えてきたからだ。
「さあ、今日も命知らずたちが集まったデュエルの祭典が始まるぜ!観客の皆、お気に入りへの賭けは終わったか?今日は信頼と実績のいつもの奴らだけじゃない、なんと新人が2人も出る日だ。当たればデカい大穴デュエリスト、ご祝儀代わりに投資してやってくれよ!」
非合法だから当然とはいえ、天井のスピーカーから流れるあまりに堂々とした賭博宣言。その言葉そのものよりもそれにより一層沸き立った会場の空気に辟易としつつも、それを顔には出さずにこやかに手を振り続ける。すでに彼の演技は始まっており、一攫千金を求め無謀にも裏の世界に首を突っ込んできた若いデュエリスト、としての自分の役柄に徹しているからだ。
「それじゃあ時間も押してきた、カウントダウンで一斉にデュエル開始だ!5、4、3、2、1!」
「「デュエル!」」
すでにトーナメントの割り振りと共に先攻後攻の順番も決まっており、それを決める必要はない。鳥居は今回、後攻……相手の出方を窺おうとした矢先に、後ろで試合がいきなり動いた。
「俺の先攻、デス・メテオを発動。相手ライフが3000以上の時、1000ダメージを与える!挨拶代わりに病院送りにしてやるぜ!」
「ぐわああああ……あれ?なんか……温いぞ?」
「うん?」
「BV」妨害電波は、常に彼のデュエルディスクから垂れ流されている。その有効範囲はこの会場程度なら丸々包み込めるはずだから、彼に疑いの目が向けられるとしてもまだしばらくの猶予はあるだろう。「BV」の効力が薄まり苦痛の悲鳴が上がらないということは、つまりこの会場に公権力が介入していることになる。そのことに気づいた客席がざわめく中、デュエル開始の宣言を行ったスピーカーから即座に先ほどの声が流れる。
「どうだい、今日の趣向は?観客の皆も、今のは心臓掴まれたかと思うくらいビビったろう?大丈夫、ポリ公は俺らのことなんて気づいてねえよ!今日はちょっとしたサプライズ、「BV」の出力を少し落としてみたのさ!今の顔、なかなかに見ものだったぜヒャッハー!さあてめえら、気にせずデュエルを続けやがれ!」
なんだ心臓に悪い、ただの趣向かと浮足立っていた客席の著名人たちが安堵のため息とともに再び席に戻る。一方で鳥居も平静を装いながら、内心ではその対応の早さに舌を巻いていた。
彼のデュエルディスクは依然として妨害電波を発信し続けている、つまり今の放送内容は何もかも真っ赤な嘘に他
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