第三特異点『四海終局決戦アルケイデス』
アバンタイトルだね士郎くん!
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
けど、大人しくしてくれてるだけでいいからと相手にもされない。すぐに元の世界に帰れるように頑張るから、今はちょっとだけ待っててね、と。小学校の制服姿のイリヤは、ぎゅ、とスカートの裾を掴んで俯いた。
少し離れた所には、士郎がいる。改造されたカルデア戦闘服の上に赤い外套を羽織って、左腕に赤い射籠手を着けてる。歴戦の戦士の風格があった。
精悍な顔立ちを柔和に緩めて片膝をつき、桜の頭を撫でてあげていた。
「いい子にしてるんだぞ、桜」
「……わたしも行きたいです」
「駄目だ。これは大人の仕事だからな。子供はいい子で留守番をするのが仕事だぞ」
「わたしだって……マシュお姉ちゃんみたいに、戦えるもん」
「それでもだ。聞き分けてくれ。桜の気持ちは嬉しいが、遊びに行く訳でも、桜の面倒を見られるだけの余裕がある訳でもない」
「……」
「桜」
「……わかり、ました」
士郎の有無を言わさない態度に俯いて、落ち込んだふうに桜を見かねたのか、白衣姿のロマニが手招きした。
「ロマニさん……」
「ほら、此処に座って。いいかい? ここで士郎くん達の戦いを見守ろう。無事に帰ってこれるようにお祈りしていれば、きっと大丈夫だから」
ゆるふわな雰囲気は、こんな状況でも完全には消えてない。見るからに人見知りしそうな桜も素直にその傍に座った。
「ロマニさんは、行かないの?」
手持ち無沙汰らしいロマニに桜が問い掛けると苦笑する。
「ああ、うん。ボクは事情があってね。光の御子や騎士王にも負けない力はあるんだけど、通常の特異点には出向けないんだ。で、指揮系統がごちゃごちゃにならないようにアグラヴェインに指揮は一任してる。雑務はハサンがやってくれてるし……ボクはカルデアで唯一の暇人なんだよね。お留守番部隊はボクや桜ちゃん、あとはイリヤちゃん、美遊ちゃんだ。せめて彼らを応援していよう。ね?」
イリヤや美遊も呼んで、ロマニがそう慰める。美遊は、戦闘服姿の士郎を見ていた。懐かしそうな、悲しそうな瞳で。
その士郎は、最後の事前ミーティングをしているようだった。緊張感はあっても、固くなり過ぎていない頼れる後ろ姿――リーダーシップの強い、縋ってしまいそうな存在感がある。
その周りには戦闘班のサーヴァント達がいる。そして魔術礼装の制服を着たネロもいた。
「――カルデアのマスター二名による、初の同一特異点攻略が始まる。それにあたって俺の班をA班、ネロの班をB班と呼称するぞ。連絡はこの通信機で密に取り合う」
全員が懐中時計型の通信機を持っていた。レイシフト先の特異点内でも独立して使えるもので、ダ・ヴィンチが作成したらしい。
特異点にいるとカルデアとの通信が途切れる事が多々あった。なのでその対策がこれなのだ。
「ネロに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ