第二章
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ないのだ。早く解決しなくては、あのグールがいつ再び動き出すか分からないのだから。
「イェンゲンさん、あれ…。」
二人は半時程走ると、目の前に瓦礫と化した王城が現れた。そこから然して掛からず、二人は目的の人物を見付けることが出来たのであった。
「師匠!」
「ヴィー、何で来てんだ!」
そう怒るルーファスに、ヴィルベルトは走り寄って返した。
「何でだじゃありません!一人で行くなんて、そんなに僕が信用出来ないんですか?」
「そうじゃねぇ!ただ、こっちはこっちで忙しいんだよ!」
そんなルーファスをスルーし、ヴィルベルトは三人の魔術師に囲まれているそれに目をやった。
すると…ヴィルベルトはあからさまに顔を顰めた。
「師匠…この人…。」
「お前にゃ分かるか…。そうだ、こいつは“悪魔”だ。」
ルーファスがそう言うと、それはニタリと笑って口を開いた。
「君、かなりの力があるね。ま、そこの銀髪の美青年には及ばないが。」
「そりゃどうも。で、何でお前は大人しくしてんだ?」
ルーファスがヴィルベルトを後ろへと下がらせてそう問うと、それは暇そうに欠伸をかきながら返した。
「これと言って意味はないよ。尤も、君らがこの結界を維持している内は、出るに出られないしねぇ。まぁ、これも一興ってとこだね。何せ、今まであんな醜いものに入れられてたんだから、この躰で少しは楽しませてもらわないと。」
「何をする気だ?」
ルーファスがそれを睨み付けて問うと、それは満面の笑みを湛えて答えた。
「性欲を満たすに決まってるじゃないか!」
余りにも馬鹿馬鹿しい答えに、一同は沈黙してしまった。まぁ、悪魔は自らの欲に忠実なのだから、差し当たりこんなものかも知れないが…この姿でそれを言うのは、些かどうしたものか…。
それに対し、少しは離れた場所で見ていたイェンゲンが強い口調で言った。
「お前、ここから無事に出られるとでも思っているのか?」
「いいや。先ず、この美しい銀髪の青年がいる限り、それは無理だろうね。でもね、私はいつまででも、こうしていて構わないんだよ。さて、君達はどうかな?」
「…貴様、それを狙ってるのか?」
「別に。結局の所、私はどうでも良いんだよ。但し、あの老体二人が探している物は、まず見付からないだろうけどね。」
「は?」
それを聞いて、イェンゲンは眉を顰めた。
「君、何も知らずに此処へ来たのかい?顔も平凡なら頭も平凡なんだねぇ。」
「やかましい!全く、これだから悪魔というヤツは…。」
イェンゲンは些か傷ついたようだが、悪魔はそれが可笑しくて堪らない。
すると、それを見ていたルーファスは眉をピクリとさせ、悪魔に掛けられている結界に力を加え、それを異常なまでに収縮させた。
「待った!分かった!分かったから!!」
悪魔
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