第二章
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のが先なのは、師であるルーファスそっくりであった。
そして何より、この大結界の一端を担っている力…ルーファスの愛弟子で当然と言えたのであった。
「いや、失礼した。」
「良いんです。最初は皆、同じような反応しますから…。」
諦めにも似た溜め息を洩らすヴィルベルトに、ヴィクトールは笑みを見せて返した。
「だが、少年だった頃のアーダルベルトを思い出す。」
「師匠を?」
「ああ。ヤツは規格外でね、随分無茶をしていたものだ。この大結界を支えている君を見ると、ヤツのそういう所を思い出す。」
そう聞いて、ヴィルベルトは半眼でヴィクトールへと返した。
「それ…褒めてるんですか?貶してるんですか?」
そう言われたヴィクトールは大笑いして言った。
「無論、褒めてるんだよ!」
そう言うや、ヴィクトールは直ぐにヴィルベルトへと交代の旨を伝え、その場で詠唱を始めた。
その時、結界の二箇所が別の魔術師へと代わったことが分かった。そして…。
ー まさか…師匠!? ー
ヴィクトールが詠唱を終えると、その場にもう一人の魔術師が姿を現した。
「ヴィルベルト君!」
「分かってます、イェンゲンさん。師匠が中に入ったんですよね?」
「その通りだ。君も行くか?」
「勿論です!師匠が暴走したら大変ですから。」
「ハハ…全くだ。」
二人はそのままヴィクトールとティアス、そしてビルスマの三人に後を任せ、直ぐ様ルーファスを追い掛けたのであった。
「ヴィクトール様…あの子、一体どれだけの力があるのでしょうか…。」
ティアスが二人の消えた方を見詰めながら問うと、ヴィクトールもそちらへと視線を向けて答えた。
「そうだな…ルーファスと同じ程にはなるかも知れないな。あの年でこの大結界の一角を守り通すとは、恐らくルーファスとあのヴィルベルト君しかいない。」
「それじゃ…。」
ティアスは溜め息をつく。その隣では、ビルスマが苦笑しつつティアスの肩に手を置き、「俺達とは違い過ぎんだよ。」と言った。
そんな二人をヴィクトールは過去の自分と重ね、目を細めて見ていたのであった。
一方のヴィルベルトとイェンゲンの二人は、王城に近い教会…マルクアーンらが移転魔術で来たあの教会へと入っていた。尤も、結界内で残っている陣はここしかなく、ルーファスもここから王城跡へと向かったのである。
「さて、王城へ向うか。ま、瓦礫になってるがな…。」
「そうですね…。でも、きっと師匠も向かっている筈です。」
そう言って、二人は打ち壊されて死臭の舞う街の中を進んだ。
魔術で身体強化してはいても、この腐臭はさけられない。そこかしこで腐肉を啄む烏が群れ、時には人だったものの一部に足を取られそうになる…。
それでも二人は走る。この結界とて、いつまでも保てる訳では
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