第二章
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王都東の一角。そこで今、ルーファスは力を行使し続けていた。
「アレク、コアイギス師は何て言ってきた?」
「はい。四人の上位魔術師をこちらに向かわせてくれるそうです。」
ここは東中央にある大聖堂で、今は二人しかいない。そこにいるのは結界の一端を担うルーファスと、リュヴェシュタン王都との通信役として残った義勇団のアレクである。他はヴィルベルトの元で補佐をする二人を除き、結界外の各所で単発的に出現する妖魔と戦っていたり、怪我人の手当てなどに奔走していた。
本来なら、ルーファスだけでも魔術を行使しながら通信は出来るが、今回のこれはかなり強い力を要するため、アレクに通信役を頼んだのである。
「四人か…。向こうでも何かあったな…。」
「ご推察通りです…。あちらでも小物ではありますが、単発的に出現しているそうです。」
そう話している最中、ルーファスは結界内に何者かの侵入を察知した。
「…?」
ルーファスは何者が結界へ入り込んだのか探るため、自身の精神を集中させると、感知した数は四人、内二人は魔術師だと分かり、他二人が英雄であることまでも突き止めた。
「…ったく!」
「ルーファス様、如何されましたか?」
「いや、若い魔術師二人と老いた英雄二人が…グールんとこへ行ってやがんだよ。」
「…!?」
アレクは顔を強張らせてルーファスへと問う。
「いかな結界内でも、それはかなり危険では…。」
「ああ。グールって妖魔は、既に人の心なんてねぇかんな。悪魔の精神は残ってるようだが、下手すりゃ結界に綻びが出来ちまう。ったく…誰でも良いから早く寄越せっつぅの!」
ルーファスが苛つきながらそう言った時、不意に大聖堂の北側に設置された移転の間から気配がした。
「やっと来やがった。」
「折角来てやったと言うに、何と言う言い草だ。」
ルーファスらの前に姿を現したのはホロヴィッツであった。
「やっぱお前が来たか。で、残る三ケ所には誰が行ったんだ?」
「セレンとヨハネス、そしてヴィクトールだ。」
「だったら問題無ぇな。そんじゃ、この結界の維持を頼むな。」
今着いたばかりのホロヴィッツにルーファスが事もなげに言ったため、ホロヴィッツは顔を顰めて返した。
「お前、この大結界の一端の維持を私にやれと?」
「何だ、出来ないのか?」
ルーファスはわざとらしく笑みを溢して返したため、ホロヴィッツは些かムッとして言った。
「出来ぬ訳ないだろう!」
「なら交代だ。」
ルーファスにまんまと乗せられた風だが、言った手前「無理だ」とも言えず、ホロヴィッツは軽く溜め息をついてルーファスの元へ行き、呪文の詠唱を始めた。
ルーファスであれば二言で事足りるが、ホロヴィッツでは全十二節全てを詠唱しなくてはならず、それを見ていたアレクは少しばかり不
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