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『魔術? そんなことより筋肉だ!』
過去話  士郎と桜
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。」
「い、いや…。そんな…。」
「桜、わしに逆らうのか?」
「ひっ…。」
「あんた…、桜に何を?」
 士郎が桜を背に隠し、老人を睨んだ。
「簡単な話じゃ。桜は、我が家をつなぎ止めるための母胎。そして、貴様はこれから、わしの蟲共の餌となるのじゃ。」
「はん。誰が…。」
「死ぬが良い。」
 次の瞬間、無数の巨大な蟲が襲いかかってきた。
「いやあああああああ!」
 桜が悲鳴を上げる。
 しかし、士郎は顔色ひとつ変えず。
「あたたたたたたたたたたたたた!」
 連続パンチで蟲を潰していった。
「なに!?」
 今度は老人が驚く番だった。
「初級、ピストル拳!」
 小さめに放たれた、拳の圧が、老人に命中した。
 その瞬間、老人の身体がバラバラの蟲になり、潰れた。
『驚いたのう…。間桐臓現の蟲を潰せる輩が、このような若造とは。』
「こいつ…! 身体が蟲で…。」
『その通り! わしを殺すことはふかの…。』
「そこだ!」
『なに!?』
 周りに蠢く蟲の中から一匹の虫を掴んだ士郎。
 途端、臓現が焦った声を上げた。
「これが本体か…。聞かせて貰おうか…。あんた…桜に何をしていた?」
『そ、それは…。』
 そして、臓現は、桜にやってきたことをすべて話した。
「なるほど…。」
『わ、わしは、すべてを話したぞ! わしを…かいほ…、っ!』
「許さねぇ。」
「先輩!」
「桜…、まさかコイツを許すのか? おまえにそんな…酷い仕打ちをずっと続けてきたやつを!」
「でも…そんなことしたら、先輩が人殺しになる…。それは…。」
『桜! こいつを止めろ!』
「桜……、俺は…桜が好きだ。」
「えっ?」
「ずっと…好きだった。あの時、初めて会ったときから、ずっと。だから俺は桜を助けたい。俺が言うのも何だが…、コイツはもう人間じゃない。」
「先輩…。」
『桜! 何を惑っておる! 早く! 早く、わしを!』
「私…綺麗な身体じゃありません…。」
「それがどうした?」
『桜?』
「十にもならない頃から、ずっと、蟲に侵され続けた…。全身…くまなく…。汚いです。」
『桜!!』
「どこが汚いんだ? 桜はずっと昔から綺麗だよ。」
「先輩…、私…そんな私でも…いいんですか?」
 桜は泣いていた。
「バカだな…。俺にとって、桜だけが好きなんだよ。」
「じゃあ…。私も…背負います。罪を。一緒に!」
 桜が近寄り、臓現の本体である蟲を掴んでいる士郎の手を両手で握った。
『やめろ、やめろ…! 桜あぁぁあああああああああああ!!』
「地獄に。」
「落ちてください。」
 そして二人の手が、臓現の本体である蟲を握り
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