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『魔術? そんなことより筋肉だ!』
過去話  士郎と桜
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 切嗣が死んで数週間だろうか…。
 それほど経たない頃であった。

「えーん、えーん…。」

 学校が終わり、いつものランニングをしていた士郎は、女の子の泣き声を聞いた。
 声が聞こえたのは、路地の間だった。
 覗くと、そこには薄紫色の髪の毛少女が、両手を目において泣いていた。
「どうしたの?」
「っ!」
 声をかけると、少女は酷く過剰反応した。
「こんなところで、一人で何してるの?」
「…えっ…あの…。」
「あ…。」
 見ると、アスファルトに置かれたランドセルがボロボロになっていた。
「誰にされたの?」
「えっと…あの…。」
「だいじょうぶだよ。僕は味方だ。ねえ、誰がやったの?」

「あっ! 間桐の奴、まだあそこにいるぜ!」
「やーい、お化け屋敷〜の子!」

「…お前らか!!」
「うわっ! なんだお前!」
 道路側からからかう男の子達の声が聞こえ、士郎は彼らが原因だと理解して、殴りかかっていった。
 その後、いじめっ子達を懲らしめたが、士郎は彼らの保護者に呼ばれ、後見人の藤村が頭を下げに行き、士郎は意地でも謝らなかった。


 後日……。

「あ、あの…。」
「あ、君。よかった、ランドセル新しくなったんだね?」
 いつものランニング中に、あの時の少女に会い、士郎は少女の新しいランドセルを見て笑った。
「えっと…あ、あ、ああ、ありがとう……ございます…。」
「別にいいよ。俺ああいういじめっ子って嫌いなんだ。ねえ、よかったら名前教えてよ。俺、士郎。衛宮士郎っていうんだ。」
「…あ……あの、わ…私…桜…。」
「桜か…、いい名前だね。」
「そ…そんなこと、ない…。」
 少女は泣きそうになりながら、けれど赤面してボソボソと言った。


 その後、ランニング中に、何度も会うことがあった。
 その都度、たわいもない話をしたりして、士郎にとってはとても楽しかった。
 どもりぎみだった桜も、徐々に慣れ、普通に喋れるようなった。


 小中ともに違ったが、そうやって同じ道を通るようになり、一緒に帰るようなった。


「士郎くん…、私より一年上だったんだね。じゃあ先輩だ。」
「そっか。そういえばそっか。」
「じゃあ…、先輩って呼んでいい?」
「うーん、俺としては名前でもいいけど、しょうがないか。」


「おい、ガキ。」

「あっ?」

「彼女なんて連れていい身分だねぇ? 俺達にもいいも思いさせろよ?」
 まあいわゆる不良集団であった。
 桜は、怯える。すると士郎が桜を背に隠した。
「お? いっちょ前に彼氏面かよ!」
「お嬢ちゃん、俺達と遊ぼうぜ?」
「い
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