SS24 苦難と幸多き未来と…
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礼が口元を歪めて笑う。
綺礼がそう言ってくるということは、聖杯がイリヤの心臓だけに、胸の中にあるとは限らないということだ。
頭かもしれない…。しかし、足という可能性もある。
「くそ…。」
「辛かろう。血もだいぶ失われているのだろうし、そろそろ終わりにしてあげよう。」
綺礼が歩み出した。
士郎は身構えながら、考え続けた。
聖杯はどこだと。
その時だった。
『ユーリさんって常識がおかしいですからね。見習っちゃダメですよ?』
『なんでだ? 逆に考えてるんだぜ? ほら、逆に考えてハンカチはいつも持ち歩いてる。』
『だって、『常識にとらわれるな 一般常識なんてクソくらえ』なんて本を参考に生きてたんでしょう?』
「……とらわれるな…、か…。」
「?」
「ピストル…。」
士郎は拳を握りしめ、構える。
綺礼が、ハッと表情を変えた。
「貴様!」
そして。
「拳!」
士郎がピストル拳を放った。
……黒い泥が溜まった池に向かって。
「ぐ…ぉ…!!」
途端、綺礼が胸を押さえて膝から崩れ落ちた。
「やっぱりか。」
強大な圧を受けた泥が凄まじく蠢き、そして中心から、黄金に輝く杯が、飛び出してきた。
「言峰綺礼…。お前を狙う限り、絶対に目が行かない場所……。そう逆に考えて、思い付いたのがココ(池)だ!!」
士郎が弾け出てきて宙を舞った黄金に輝く杯を跳んで、掴んだ。
「それと…、お前の企みも分かった。」
「…なにかね?」
「お前を殺したら、その瞬間…、あの十年前の時のように、あの孔から災いの元が流れ出て来るんだってな。なぜなら、この黄金の杯は、その災いの元をせき止める制御装置に過ぎないんだ。つまりそれと繋がったお前を殺すって事は、この杯をぶっ壊すのと同じ事だってな!」
「……そこまで見抜くとは…、君は本当に…何もかもが切嗣を越えている…。」
「逆に考えてただけだ。常識にとらわれるなってな。」
「それも…、君の起源となったユーリからの教えか?」
「……だいたい合ってる。」
すると士郎は、杯をにし、その中に指を突っ込んだ。
「なにを!?」
「出てこい…。アヴェンジャー!!」
筋肉に血管を浮かせ、凄まじい力を持って何かを引っ張り出そうとする。
すると、ズルズルと、何か黒く染まった何かが杯の中から引っ張り出され、ついに地面に引きずり出された。
それは、泥よりも黒く、けれど、奇妙な呪文を思わせる模様が赤黒く光った何かであった。
「コイツが…、聖杯を汚染していた元凶だろ?」
「馬鹿な……。力業でこの世全ての悪を引きずり出しただと!?」
「いいや…
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