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『魔術? そんなことより筋肉だ!』
SS23 未来のため
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 桜が立ち上がって言った。
「ああ。」
「……必ず…、帰ってきてください。」
「もちろんだ。」
「先輩…。」
「桜…。」
「……。」
「…止めないのか?」
 いつもこういう時には止めに入ってくる凛が動かないので、思わず士郎が聞いてしまった。
「バカね。こんな時に止めるほど人でなしじゃないわよ。で? 後悔の無いようにしないの?」
「いや…今更ながら人目があると気になるもんだな…。」
「今まで人目を気にしなかったバカップルが言う台詞?」
「……すまん。」
「今更謝るな。」
「時間も無いのだ。さっさとしろ。」
 アーチャーが急かした。
「えっ…あ、…う…、さ、桜!」
「は、はひぃ!」
 緊張のあまり噛んだ桜。

「……この戦いが終わったら…、いや、高校を卒業したら…、結婚しよう。」
「…………………………はい!」
 桜はたっぷり間を置いて、涙ぐみつつ、これ以上ない笑顔で返事をした。

「……いいのか? 凛。」
「……………………誰が…。」
 凛の背後にゴゴゴゴッ…っという音と共に黒いオーラが出始めているように見えた。
「誰が、プロポーズしろって言ったのよおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「なんだよ! やっぱり、怒るんじゃねぇかよ!」
「それとこれとは話が別うううううう!!」
「やはりこうなりますか…。」
「いや、この方がいつも通りでいいかもな。」
 セイバーがため息を吐き、アーチャーが腕組みして頷いていた。
 怒った凛に追いかけ回される士郎。桜は、そんな二人を見ていても、士郎からのプロポーズに酔いしれてほわ〜っとなっていた。





***





 空に空いた、黒い孔。
 その真下にあるのは、柳洞寺。
 冬木の霊脈が集まる場所のひとつであるこの場所は、今や神聖な空気などどこへやら。
 山は不気味に胎動しているように見え、まるで山そのものが生き物のような空気をはらんでいた。
「これは…。」
「完全にヤバいわね。」
「しかし、行くしかありません。」
「分かってるわよ、セイバー。今更引き返すことなんてしないわ。」
 凛がキリッと表情を引き締め、そう力強く言った。
「! セイバー!」
「えっ?」
 次の瞬間、アーチャーが反応し、セイバーの前に腕を伸ばした。
 その瞬間、ズバッとアーチャーの腕の一部が抉れた。
「アーチャー!」

「チッ……、よくぞ気づいた。」

「誰だ! 姿を見せろ!」

「我は…、アサシン。」

「アサシン!? けど、声が…。」

「我は、…真なるアサシンなり。」

 木の上に、長く伸びた腕をヒラヒラと揺
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