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『魔術? そんなことより筋肉だ!』
SS10 慎二の愚行
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して気絶させた。
 桜の体を受け止めライダーが抱え上げた。
「さてと……。」
 慎二はニヤリと笑う。





***





「遠坂!」
「どうしたの?」
 放課後、下校する生徒達をかき分けて士郎が凛を捕まえた。
「これ…。」
「! アイツ…。」
 それは、ボロボロに引き裂かれた桜のリボンと手紙だった。
「なるふり構わずってことね…。ここまで堕ちてるなんて…。」
 手紙の内容は、明日までにすべての準備を整える、邪魔をするなら桜の命はないっと書かれていた。
「明日までですって? 結界の仕掛けもあらかた破壊したし…、っとなると、魔力を使って強引に発動させるしかないわね。でもその魔力は……。あっ。」
「遠坂?」
「なるほどね…。手っ取り早い方法があるわ。魔力をかき集める方法。」
「それは?」
「吸血よ。もっと言えば魂食い。血は、命を宿す魂の象徴。それを直接、大量に吸い取れば、あるいは……。」
「今度は、吸血か…。桜…。」
「桜も危ないかもしれないわよ。」
「なっ!?」
「今のライダーは、一時的とはいえ慎二の手元にある。おそらく魔力のパスだけは繋がってる状態なはず。なら、本来のマスターである桜から大量にギリギリまで魔力を吸い取れば……。あとは、結界を発動していっきに魔力を集めれば桜が回復するまで十分すぎるほどもつわ。今のライダーは、二つの令呪の強制力で慎二に逆らえないんだもの。」
「そんな…。」
「けど、桜を殺すことはないでしょうね。なにせライダーを保つには、桜が不可欠なはずよ。魂食いし続ければ、いずれ教会が黙ってはいないし、乱用は出来ないはずよ。」
「…くそぉ! 俺は…。俺は何のために力を付けたんだ! 恋人一人守れないで…。」
「士郎…。」
「くそっ!」
 士郎は壁を殴った。するとミシッと拳が壁にめり込んだ。
 もちろん…先生に怒られた。





***





 翌日。
 士郎は眠れぬまま夜を過ごし、朝を迎えた。
「シロウ…。心配なのは分かります。」
「行ってくる…。」
「シロウ、私も…。」
「いや、お前は目立つからな。」
「っ…。」
「…けど、もし何かあったら危ないから、近くの公園にでも待機しててくれ。ちゃんと私服でな。」
「! 分かりました。」
 そして、士郎は、学校に行った。

 授業は滞りなく始まり……。
 別のクラスで、凛も警戒していた。
 慎二は来ていなかった。

 そして……。

 あの時同様に、突然それは来た。
 バタバタと倒れていく生徒や教師達。放課後と違い、たくさんの人間達が一斉に影響を受けた。
「遠坂! 来たぞ!」
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