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『魔術? そんなことより筋肉だ!』
SS9 士郎と小次郎
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やはり、ただ者ではない!」
「はっ!」
「ふっ!」
 見た目からは想像も出来ないスピードで迫ってきた士郎を、アサシンは長刀で迎え撃つ。
「見てくれだけの肉ではないのですね?」
「ああ! この十年以上で、鍛えに鍛えた、筋肉魔法だ!」
「きんにくまほう? ずいぶんと…変わった御方だ。」
「けど、まだまだだ…。ユーリ兄ちゃんには、まだほど遠い!」
「ほう……。士郎どの以上の方がいると…?」
「ああ! 俺は聖杯を手に入れたい! そしてユーリ兄ちゃんに会いに行きたいんだ!」
「それが貴殿の聖杯にかける望みか!」
「そうだ!」
「では…、私も士郎殿の本気に応えなければなりませんな。」
「むっ…、来るか…、なら俺も…。」
「秘剣…。」
「……トル…。」
「燕返し!!」
(こぶし)!!」
 凄まじい速度で振られた剣から放たれた一撃と、士郎の拳から放たれた拳の圧がぶつかり、拳の圧が真っ二つに横に切れて飛んでいって、下に飛んでいった圧が石段の一部を破壊した。
「俺の拳の圧を切るとはな…。」
「今の一撃…、防がなければこちらがやられていました…。」
「すごいな、おまえ。ほんと強いな。」
「士郎殿こそ…。」

「オラオラ!! てめぇ、坊主!」

「な、ランサー!?」
「そいつとはまともに相手にして、俺とは本気でやりあわねぇってないわー!」
「ジャマすんな!」
「そんなアサシン野郎より、俺の相手をしろ!」
「おりゃっ。」
「ぶげっ!?」
「お前の動きは見切ってんだよ。」
 デコピン一発でまた沈められるランサーだった。
 それを見たアサシンは、ダクッと汗をかいた。
「どうした?」
「士郎殿は…、そこな御方の動きを見切っていると?」
「? ああ。」
「それは困った…。」
「なんだよ?」
「この勝負、士郎殿の勝ちだ。」
「はあ? なんでさ?」
「私は、そこの御方を下回る力しか持ち合わせておらぬ。動きを全て見切られれば、それまでだ。士郎殿の期待に添えぬ…。」
「本気でやってもいないのに、諦めるのか?」
「私は本気を出しましたよ。先ほど、士郎殿の拳の圧を切った。それがせいぜいです。」
「おまえ…。」
「申し訳ない、キャスター殿…。ぐっ!!」
「おい!?」
 突然アサシンが胸を押さえて膝をついた。
『失望しました、小次郎。』
 そこにキャスターの声がどこからともなく聞こえた。
「キャスター!? アサシンになにを!?」
『令呪をもって仕置きをしているのですよ。門番としての役目を果たせぬのですから。』
「ぐ…あああああ!」
「てめ…、出てこい!」
『出てこいと言われて、出るバカはいま
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