SS3 槍兵の殺(や)る気
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かったランサーだったが…、デコピン一発で弾き飛ばされ、何度もバウンドして倒れた。
「クー・フーリンっつたって…、こんなやせっぽちなはずないよなぁ……。自称か?」
尻を突き出す形でうつ伏せで倒れているランサーと、アーチャーを起こそうと揺さぶっている遠坂を残し、士郎は鞄を担いで帰ったのだった。
その頃には、膨張していた筋肉は元の大きさに戻っていた。
***
士郎は、誰もいない家の玄関の電気を付けて、ただいまーっと言って靴を脱ぎ、家に上がった。
そして、晩ご飯は何にしようかな〜っと、暢気に独り言を呟きながら家の中を歩いていると、ふいに立ち止まった。
「! ーーふんっ!」
「チッ!!」
背後から槍を突かれたが、背筋に力を入れて防いだ。
「おまえ!」
「背中からでもダメか…。」
「土足で上がるな!」
「ツッコミどころそこかよ!?」
ランサーが思わずそうツッコミ返した。
「何しに来た!?」
「俺と勝負しやがれ、坊主!」
「もう勝負はついただろ!」
「リベンジだ!」
「そうか…。なら、納得するまで戦ってやる、表出ろ!」
「おう!」
二人は、表に出た。
そして、戦いが始まった。
ランサーが、その機動性を生かして槍を連続で突き出す。
それを士郎は、すべて避ける。
「おめぇ…、パワーだけじゃないのか…! すげぇな! ほんとすげぇ!」
「どういたしまして!」
「オラオラ! 避けてばっかじゃ終わらないぞ!」
「おらぁ!」
「あぶねっ!」
突きのような蹴りが来たので、ランサーは、間一髪で避けた。
その瞬間だった。
カッと光が発生し、そこに一人の美しい少女が現れた。
「ーーー問おう。貴方が私のマス…。」
「ほげぇ!!」
「俺の勝ちだ。」
発生した光で一瞬止まったランサーが、再び士郎のデコピン一発で吹っ飛びバウンドして倒れた。
「……………………えっ?」
「誰だ?」
「あの…、これは?」
「何って…、俺に挑んできたやつを撃退しただけだけど?」
M字に足を開脚状態で倒れているランサーを指さし、士郎がそう言った。
「! サーヴァント! 下がってください。」
「いや…、もう倒したから…。それより、君は?」
「あ…、私のことはセイバーと…。」
「じゃあ、セイバー。今、サーヴァントって言ったけど、アイツのこと…。あれ?」
「逃げましたね。」
ふと見ると、ランサーの姿が消えていた。
「ま、いっか。」
「!?」
セイバーは、縮んでいった士郎の筋肉を見て驚いた。
「どうした?」
「あの…失礼ですが、貴方は…、何者なのですか?」
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