生きているのか死んでいるのか
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を、俺は知らない。だいたい、再演された聖杯戦争は、俺がアーチャーの記憶通りにおこなったと思い込んでいただけで、全く異なる形だった。
キャスターはメディアではなく、英雄王で。アサシンは腕の長いハサン・サッバーハだった。
アーチャーの記録通りではなかった部分を、俺は自失したまま駆け抜けた……。そんな状態で勝ち抜ける甘い敵ばかりだったろうか。そんなはずはない。
まずい、混乱してきた。整理しよう。セイバーはアルトリア、アーチャーはエミヤ、ランサーはクー・フーリン、ライダーはメデューサ、アサシンはハサン、キャスターは英雄王、バーサーカーはヘラクレスだった。
序盤はエミヤの記録通りだった……はずだ。
詳細に思い出せないのは……俺が混乱していたからだろう。アーチャーの記録通りに動けばいいと高を括っていたのに、序盤以降に想定外の事があって、錯乱していた俺は更に精神が不安定になり、支離滅裂な思考をしていたように思う。記憶障害にすら陥っていたかもしれない。
では消去法だ。あの場に居合わせ、慎二を殺すとしたら――俺と遠坂は無し。ランサーは……アイツはサーヴァントを失ったマスターを、仕事でもない限り積極的に殺そうとはしない。都合よくランサーのマスターが殺せと言っていて、都合よくランサーが居合わせた可能性は低い。アサシンのマスターは……誰だ? 俺は見ていたはずだ。思い出せ、思い出せ、思い――
「――間桐臓硯、か?」
朧気に、そんな気がする。俺の中にある端末の記録は、カルデアや冬木にいたアーチャー自身が持たない記憶も含んでいた。何せアラヤの端末であるエミヤの本体そのものと繋がっているようなものだからだ。だから俺はこのままだと死後に、掃除屋であるエミヤと統合される。
冬木での聖杯戦争には様々なパターンがある。その内の一つの可能性に、間桐臓硯がアサシンのマスターになっていたものがある。再演時のアサシンのマスターが間桐の蟲翁だという保証はないが、俺は薄らと臓硯を見ていたような気がした。
それが確かなら、アサシンが慎二を殺す理由がない。身内だからだ。蟲翁が身内に甘いかどうかは知らないが、殺す理由が無ければ殺さないだろう。一時の感情で身内を始末するような奴なら、今まで時計塔やら教会やらに足元を掬われる迂闊さを持っていた事になる。軽はずみには殺さないのが、魔術師という影の世界の住人ゆえに。
三騎士、騎兵、暗殺者がないとなれば、後は二騎だが。英雄王は終始、再演時の聖杯戦争ではやる気がなかった。積極的に動かなかったどころか俺を勝者にしようとすらしていたように思える。
でなければ、錯乱していた俺なんて、簡単に殺されていたはずだ。本気で戦った英雄王が、錯乱していた俺を護る事に苦慮していたアルトリアを打倒できないとも思えない。
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