親子なのか自分なのか
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る。切嗣もだ。人理を修復したら冬木で暮らしてもらうからな」
「――は?」
赤い外套の男が、目を点にする。俺は嫌がらせめいて笑いかけた。まさか本気だとは思わなかったらしい。アイリスフィールの話に乗っかっただけの軽い冗談だと受け止めていたのか。
しかし空気を読まない男、切嗣がすげなく断りを入れてくる。
「悪いが僕は、仕事が終わればカルデアから退去するよ」
「却下する」
この件に関して切嗣の意向は全部無視だ。何せこの男、幸福から逆走する事に全力のダメ人間である。
「アンタの仕事はマスターの指示に従う事だ。雇い主の言う事は絶対だぞ」
「――その理屈でいくと、貴様は死後霊長の抑止力に組み込まれるのを是としているふうに聞こえるな」
「不正な契約は断固として認めない。そして正規の契約を結んでいるサーヴァントに拒否権は認めない」
「……横暴だな貴様は」
「アイリさんに切嗣、お前に俺、イリヤ――衛宮勢揃いだ。なんの不満がある? 異論は認めないぞ、大家族化したら俺の手には負えん。真面目な話……助けて」
イリヤやら桜やら遠坂やら藤姉やらアルトリア達やらバゼットやらその他諸々やら……。積もりに積もった問題解決は、人理修復以上の難題である。彼らの力、というか存在があれば負担は軽減するはずである。
――ああ、打算抜きに思う。きっと全員が欠ける事なく揃った未来は、とても賑やかで幸福な、美しい光景だろうと。
その展望が途方もなく甘く、途轍もなく脆い、砂上の楼閣じみた儚い夢想だとしても。やはり俺は、ハッピーエンドを夢見ていたい。
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