親子なのか自分なのか
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「正直に言うわね。第三者な上に正義とか悪、主義主張は分からないけれど、きっと貴方達の話は平行線のままで帰結しないわ。だって二人とも正義の味方じゃない」
「……」
「……」
「……あのな、アイリさん。なんだってそうなるんだ。あとナチュラルに切嗣ハブるのやめてやってくれるか。切嗣のメンタルは鉄に見せかけた豆腐だから」
天然で刺されるほど痛い言葉はない。切嗣の表面に変化はないし、内面も殆ど平坦だろうが、微かに揺らぐものはあるだろう。
アイリスフィールは苦笑した。
「この私も、この切嗣も、本当はなんのかかわり合いもない赤の他人よ。でも私は切嗣を愛しいと感じてる。別の世界だと、きっと素敵な出会いがあったんだわ。でも詳しくは知らないから、偉そうに評価なんて出来ないわよ。貴方達に対してもそう、私は感想を言ってるだけ。切嗣は私にとって愛しい人で、それ以外は知らないわ。そしてマスターとアーチャーは、掛け値なしに本物よね。正義の味方って、自称じゃなくて他人が評するものなんじゃない? だったら第三者の私が保証してあげる。それで一件落着って事でいいんじゃないかしら」
ね? と首を傾げるアイリスフィールの仕草は愛らしい。俺とアーチャーは顔を見合わせた。
そして不意に、ふっと肩から力を抜いて苦笑する。なるほど、道理だ。この人には敵わない。的確に言い返せない筋を通してくる。
まったくその通りだと納得するしかない。俺としては不服だが、筋が通っているなら言い返す訳にはいかなかった。何故ならそれは、ひどく格好悪いからだ。
「これまでの事はもういい。これからの事について考えましょうよ。折角それぞれが本来とは違う形だけど、家族が揃ったんだから。仲良くしたいと思うのは私のワガママかしら」
「そうだな。……とんでもないワガママだ。が、違いない。異存はあるか、アーチャー」
「……ないな。貴様は名前と能力が同じなだけの他人、拘る事でもない。それにキャスター……」
「名前でいいわよ?」
「……と、切嗣、イリヤは放ってはおけん」
「――僕の意見は無視かい?」
「うるさい気配遮断してろ」
切嗣の嫌そうな顔に、俺はにべもなく切って捨てる。露骨に嘆息する切嗣に、俺は宣言した。
「幸せ衛宮家計画でも立てるとするよ。アンタも主役だ」
「……」
「まあ素敵! それってどんなものなの?」
ノリがいいのはアイリスフィールだけか。
分かってはいたが、とことん付き合いの悪い男達である。アーチャーは皮肉げに嫌みを言ってくる。
「どうでもいいが、その下らないネーミングセンスはどうにかならないのか?」
「うっさい受肉させっぞ」
「どんな脅し文句だ、それは」
「マスターに対してなんて口の利き方だ。反抗的なサーヴァントは罰として受肉させてや
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