剣なのか鞘なのか
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何人の女と寝たか、と訊いてきたのか? ははは、馬鹿な。乙女な彼女がそんな下世話な事を口にするはずが――
「中東での思い出は私には聞かせられませんか」
「――」
「バゼットなる女性は、綺麗な方でしたね」
「ちょ」
「シエルという方とはどういった関係で?」
「待った。待って。え? 何? ……なんでそんな事を?」
中東の思い出とかバゼットとかシエルとか、そんな想像が働かない編集が入っているはずでは……?
「……」
「黙りですか」
「正直に答えなさい。シロウ、何人と寝ました? 名前を挙げなさい。私が理性的である内に」
オルタとアルトリアが代わる代わる口を開く。同一人物だからか息ぴったしで実によろしい。双子のようだ。
――レオナルドぉぉおお! おまっ、悟られるような雑な仕事してんじゃないよもぉぉおお!
雑じゃない仕事をしたらバレたんだぜ☆ みたいな事を言いそうなダ・ヴィンチである。彼奴とのチーズ契約は此処に破られた。絶対に許さない絶対にだ。
冷や汗が浮かぶ。俺は諦めた。直感の鋭い彼女達に誤魔化しは利かない。嘘も無理。人間やっぱり諦めが肝心みたいだよ、白野……。下手に苦しみを長引かせるだけだ……。
だが足掻く。諦めたのは事態の露呈。しかし被害は最小限に留めてみせよう……!
「その前に一つ。誓って言うが、俺から迫った事はないし、遊びだった事なんて一度もない。それは――いいでふか?」
噛んだ。遺憾の意を表明する。酔ってるから呂律が回らなかっただけだ、本当だ。動揺なんてしてない。
「いいでしょう、言ってみなさい」
「……名前だけ。セレン、アスリ、ファティマ、バゼット、桜、イリヤ、遠坂……です、はい」
シエルとはそんな関係じゃない。時々妙な空気にはなるが、一線越えてないからセーフのはず。
「……」
「……、……」
沈黙が痛い。
俺は……ここで死ぬのか? 聖剣で斬られたりする……?
なんか凄く俺が遊び人に聞こえる経歴だけど、本当に俺から迫った事なんてないんだ。遊びでもない。というかちゃんと定期的に彼女達の様子は見に行っている。
待って欲しい。切実に迫られて断れなかったんだ。俺も男だ、色んなものを溜め込んでるんだ。
「シロウ……」
ふと、アルトリアは俯いた。オルタはデスクから離れて、背中を向ける。その声が、肩が震えている。
「私の事は……忘れたんですか……?」
「忘れる訳がないだろっ!?」
声が濡れている。――泣いてる、のか?
咄嗟に反駁するが、空々しく響いても仕方がなかった。俺はもうアルトリアとは死別した気でいた、もう二度と会えないと思っていた。だがそんな事はアルトリア達には何も関係がないんだと、今更な
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