剣なのか鞘なのか
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ていらっしゃる……?」
青と黒のドレス姿のアルトリアと、オルタ。二人は無言で俺を見ている。
な、なんだ。どうしたっていうんだ。こんなアルトリア達なんか見た事が……!
「シロウ、何か私に言う事はありませんか?」
静かに口を開いたアルトリアに、俺は咄嗟にこれまでの事を振り返る。――か、考えろ。俺は何かアルトリアの逆鱗に触れるような事をしたか?
まずい、全く分からん。飯か? お腹減った? いやしかしさっき――と言っても五時間以上前か。小腹が空いたに違いない。いや待て、俺は今酒を飲んでいる。……分かったぞ、アルトリア達も飲みたい気分だったんだな!
「……飲むか?」
「飲みません」
「ああ、ツマミがないな。今持ってくる」
「要りません」
「なん……だと……?」
アルトリアが……食べ物を、要らない、だと。顔が一気に青ざめた。
「ど、どこか悪いのか!? 大変だ急いでメディカル・ルームに行かないと……!」
「シロウ。私達に悪い所はありませんよ」
オルタが言う。豚を見るような目だ。俺は本気で分からなくなった。
「……まあ座れ。悪いが、二人が何を言わんとしてるのか全く分からない。事情を説明してくれ」
言うと、アルトリアはベッドに。オルタは俺が先程まで向かっていたデスクに腰掛けた。
俺の言に視線が絶対零度となる。……嫌な予感がする。ここは真面目な話をして矛先を逸らすべきだ。
「アルトリア達ならもう知ってるかもしれない。今俺の体の中にはアルトリアの聖剣の鞘、その現物がある」
「……」
「これは召喚された宝具じゃない。聖遺物として現存していた物だ。変異特異点にいたアルトリアから譲り受けた。担い手から譲られたものだから所有権は俺に移ってるが……戦力拡充の為にアルトリアかオルタのどちらかに返還しようと思っていたんだが――」
「鞘は無用だ。シロウの生存力を上げる為に、シロウが持っておくべきです。それと、話を逸らそうとしても無駄ですよ」
「……」
鞘を要らないとはね除けるアルトリアの表情に変化はない。もともとそう言うつもりだったのだろう。
どうやら作戦は失敗したらしい。どうしてだ。いや俺の心眼が言っている、長引かせれば後が怖いぞと。ここは単刀直入に安楽死を選ぶべき場面だ。断頭台に立とう。なぁに簡単には死なんぞ。幾度もの裁判を経て不敗の身、赤い悪魔なくしてこの俺を止められる者などいない。
「何をそんなに怒ってるんだ。言っておくが、俺に後ろ暗い事なんて――」
「シロウ。私とあの丘で別れて以来、何人の女と寝ましたか?」
「――っ?」
「……」
「……」
「……」
「…………うん、ちょっと待って」
落ち着け、クールになるんだ衛宮士郎。アルトリアは今、なんて言った?
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