剣なのか鞘なのか
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をなんとなく察せられるようにもなるのだ。
人間に最も大事な能力の一つは『コミュニケーション能力』である。まあどうしたって理解不能な奴はいるので、そういった手合いには「うんうんそれもまたローマだね」とでも言っておけば万事上手くいく。だって神祖ロムルス君がそう言ってたし。流石ロムルス、説得力が違う。
フォウは嘆息した。そんな姿すらラヴリー。しかし俺の詭弁に一定の理があると認めてくれたのか、猪口の中のワインをぺろ、と嘗めてくれた。
「……きゅぅぅ」
そして、ぱたり、と。フォウは目を回して倒れてしまった。
おやおや味覚はお子様のようですねぇ。それにしても一嘗めでダウンとは情けない。お前はチョロい系ヒロインなのかと小一時間ほど問い詰めたくなった。
可愛いから許す。いや俺が許しを乞わねばならないのか? まあそこはいい。とりあえずフォウを医務室に連れていく。
職員にフォウを預けると、呆れた目で見られてしまった。口止め料と称してワインを進呈する。後で仲間内で飲んでくれと渡す。ツマミは? と言われたので厨房の冷蔵庫に一通り揃ってるぞと伝えておく。酒好きとしてツマミの作り置きは万全である。
「……」
自室に戻り、独りチビチビとやる。
うーん、堪らんね。生きてるって感じがする。大人数でワイワイやるのもいいが、たまには独りで杯を傾けるのも乙なもの。――と言いつつカルデアに来てからは基本一人酒なのだが。
とりあえずデスクに向かい、酒を飲みながら特異点での出来事やデータを纏めたレポートを仕上げていく。酔ったからと雑な仕事はしない。気分が良くなるだけで記憶が飛んだりする性質でもなかった。
この後はどんな仕事が待ってるのだったか。雑務は百貌様が、総務はアグラヴェインが、開発はダ・ヴィンチとアーチャーが担当である。医療の総括はロマニ――ああ、そうだ。そろそろ一人、マスター候補として招集されていた人材の治療が完了し、凍結を解除するんだった。
そこに立ち会い、場合によってはカウンセリングしないといけないな。メンタルがどうなっているか見ておかないと。ロマニとかの医療部門の連中の管轄だが、俺だってその道のプロにも劣らない自負がある。伊達に精神崩壊者を幾人も立ち直らせてきた訳ではなかった。
いつ凍結を解除するんだったか。確か今日じゃなくて、明日だったか? ならする事はほとんどない訳だが――
「っ!?」
レポートを纏め終え、椅子を回して背後を向く――と、目の前にアルトリアとオルタがいて、俺は驚き余ってひっくり返りそうになった。
「な、なんだ……来てたのか。声ぐらいかけてくれても良かっただろ?」
「……」
「……」
「……あ、あの? アルトリアさん? オルタさん……な、なんでそんな、能面みたいな無表情をし
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