第九十一話 商人達の会合その五
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「独裁者になりたいか」
「それはたいな」
「そうした考えはない」
英雄は強い力を持って治めたい、しかし独裁者になるつもりはないし興味を持ってもいないのだ。それも一切。
「そこまではな」
「ある程度の反対は」
「あっていい」
こう考えているというのだ。
「異論はあっていい、だが」
「自分を支持しない人が多いと」
「その場合は」
「何か出来る筈がない」
こう良太と謙二に話した。
「だから支持を集めていくことをしていくが」
「反対勢力自体はあっていい」
「そうなのですね」
「ではそうした大店については」
「手出ししませんか」
「外道だけだ」
自分が敵視し潰そうと考えていてもいうのだ。
「俺の場合はな」
「では、ですね」
「ここはですね」
「我々に反対する大店は放置」
「攻撃はしないですか」
「一切な」
英雄は言い切った。
「ではだ」
「はい、それでは」
「これからはですね」
「寄り合いでも支持を集めていきますか」
「これからは」
「そうしていく、町人達の支持を集めてな」
そのうえでとだ、英雄はまた方針を決めた。そうして彼はやがて集めた銭で街の橋や公の場所を修繕していった。
この状況についてだ、大坂の者達は話した。
「ヤクザ潰したり悪どく儲けてる商売人成敗してな」
「今度は橋とか直してくれるなんてな」
「えらい人だな」
「銭の使い方わかってるな」
「やっぱり銭はちゃんと使わないとな」
「こうしたことにこそな」
「そう思うとわかってるな」
こう話すのだった。
「本当にな」
「やっぱりいい人だな」
「いい人達だな」
「こうしたことをする人が偉くならないとな」
「世の中よくならないぜ」
彼等の支持はさらに高まった、街の悪者達を成敗するだけでなく必要な普請を進んで行う英雄達に対して。
英雄は他に大坂の街にとって必要な場所も建てたり築いたりした、橋もそうだが運河や用水路、そして便所等もだ。
すると支持はさらに高まった、それは町人達だけでなく大店の者達もだ。彼等は寄り合いの時に英雄に口々に言った。
「ええことしてますなあ」
「大坂の街と人の為に」
「貴方はそうした人でしたか」
「ほんまに大坂のことを思う人でしたか」
こう彼自身に言うのだった。
「わて等そこまでとは思ってませんでした」
「これはかなりですわ」
「そうした方でしたら」
「わて等も粗末に出来ませんわ」
「軽く見られませんわ」
「そうか、俺は俺自身の欲は普通に手に入っている」
そして楽しんでいるとだ、英雄は彼等に答えた。
「酒も女もな。だから俺の為に何かすることはだ」
「しませんか」
「私利私欲とかはないですか」
「そうしたことに興味おまへんか」
「興味はあるが
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