ゆめのなかで
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豊饒の女主人から帰って来てすぐ。
ベルはベッドに寝転がり、シルから渡された本を読み始めた。
「えーと…魔法は先天系と後天系云々…まぁ知ってる内容だな…」
そのまま読み進める。
「後天系魔法とは強い自己実現欲求の現れである……。
リリのシンダーエラはこれだよね…」
ベルが本から目を離し、自分の自己実現欲求について考え始めた。
「僕の自己実現欲求……だめだ思いつかない…」
ベルはリヴェリアやレフィーヤの魔法を思い浮かべた。
「僕の望む魔法かぁ…うーん……。まぁ、いいや…」
ベルはとりあえず本を読み進める事にし…。
その意識を暗転させた。
『よう「俺」よ。「俺」にとっての魔法ってなんだ?』
目の前に『僕』がいる。
僕じゃなくて『僕』。あるいは『俺』。
その顔はクレヨンで塗りつぶしたように見えない。
「僕にとっての魔法?」
『おうよ。何をしたい? 何を望む?』
「僕の望み…僕は、追い付きたい。あの人に」
『おいおい「俺」よ。あの人、じゃわかんねぇよ。誰の事だ? フィンか? リヴェリアか? ベートか? それともガレス? ティオネ? ティオナ? レフィーヤ?』
その聞き方をするってことはわかってるんでしょ?
だって君は『僕』なんだから。
「いいや。僕が追い付きたいのは、アイズ・ヴァレンシュタインだ。あの人に守られるだけじゃだめだ。
あの人の隣に…いや、そうじゃない。
あの人の前に立って、あの人を守れるくらい強くなりたい」
『そのために、何を望む? どんな魔法が欲しい?』
「…………………………わからない」
『はっはっはっは! だろうな。なんせ「俺」は既に持っているんだものな。
竜具なんてチート級を7本、それを超え得る物を二本』
「それは、『僕』がくれたものだ。使いこなせないと意味がない」
だから努力する。
一刻も早く竜具と竜技を使いこなせるよう。
『そうとも。くく…くく…ははは! しょうがねぇなぁ! お前の魔法、決めてやんよ。
幸い今ならどんな魔法でも実現できる!
マテリアルバースト、エクスプロージョン、イオグランテ…どんな魔法でもな!』
『あら、そんな無粋な物をこの子に持たせる気?』
唐突に、後ろから誰かが僕を包み込むように抱きついた。
僕の胸の前で組まれた手は細く白く、美しい。
『はぁ…やっぱり出てきやがったな。アイズとの邂逅以外で出て来るならこのタイミングだと思ってたが…。
ああ、いいぜ、お前の望みはわかってる。元からそのつもりだ。弓の力だろう?』
『僕』が頭をかきながら、呆れたように言った。
『わかってないわ
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