第四十九話 合格してからその十二
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「絶対に皆振り向きますし歌手にも」
「なれるの」
「ストリートミュージシャンになったら」
よく難波や神戸の街でギターを持って歌っている人達みたいにというのです。
「それこそです」
「スカウトの人が来るの」
「絶対にそうなりますから」
こう私に言うのでした。
「目指してみます?歌手」
「目指さないから」
私はすぐに答えました。
「そんなのは」
「教会をですか」
「そうよ、継がないといけないし」
このことは阿波野君にもいつも言っています。
「それに絶対にね、声も歌唱力も」
「ですからありますよ」
「あくまでそう言うのね」
「事実ですから、それに歌なら」
阿波野君はここでこうも言ってきました。
「奥華に合唱団あるじゃないですか」
「よく知ってるわね」
このことには正直驚きました、実際に奥華には合唱団がありますけれど教会や布教所のお家の人じゃないと知らないと思っていました。
「そんなことまで」
「はい、詰所で奥華の会報読ませてもらって」
「ああ、あれでなの」
「奥華の青年会の会報も読ませてもらってますよ」
そちらもというのです。
「ちゃんと」
「それで合唱団があるって知ってて」
「はい、先輩もどうですか?先輩でしたらソプラノですね」
「ソプラノっていうと」
「女の人の高音ですね」
「そうよね、私の声は」
このことは自分でも自覚があります、二人で西の礼拝堂の前でお辞儀をしてそれから階段を一段一段上っていきます。
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