第四十九話 合格してからその十一
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「ですから歌もですよ」
「いいっていうの」
「歌手にもなれますよ、その歌唱力と声なら」
「またそんなこと言って」
歌手になれるっていうのは冗談だと思いました、私なんかが歌手になれる筈がないとわかっていますので。
「どうして私が歌手になれるのよ」
「ですからお声がよくてしかも歌唱力があるんで」
「だからどっちもないわよ」
「ありますよ、僕先輩が歌ってくれたら」
「そうしたら?」
「もうその歌絶対に聴きますよ」
こう言ってくるのでした。
「何があっても」
「またそんなこと言って」
「本当ですから、ですから歌って下さいね」
にこにことして私に言ってきます。
「自信を持ってどんどん」
「どんどんなの」
「そうして下さい、是非」
「私の歌がいいなんて」
それこそです。
「家族以外じゃ阿波野君がはじめてよ」
「あれっ、奥華の人は言いません?」
「言われたことないわよ」
このことも本当にです、ここで私達は神殿の前に来たのでお辞儀をしてそれから南の礼拝場に向かいました。
そうしつつです、阿波野君にさらに言いました。
「このことも」
「可愛いってことと同じで」
「そうよ、一度もね」
本当に家族の人以外からはです。
「言われたことないから」
「それはおかしいですね」
かなり本気な調子で言う阿波野君でした。
「先輩みたいなお声の人が言われないなんて」
「あと歌唱力もなの」
「その二つなら」
またそれこそと言うのでした。
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