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戦国異伝供書
第二十九話 安土入りその九

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「存在している家ですが」
「公家の家にしても相当に古いな」
「はい、ですがその頃からです」
「左道をしておるか」
「そうも聞いております」
「それで宮中でもか」
「力を持っておられるとのことです」
 こう信長に話した。
「そして何度も代々の帝や摂関家の方々といった力のある型がことの真偽を確かめたり聞こうともです」
「わからず終いか」
「おそらく殿がご存知の代々の名のある帝や院、天下を治めらたり戦で勝たれた方がです」
「平入道殿なりか」
「はい、陰陽師の安部様もです」
「高田家に聞いてもか」
「そして調べてもです」
 そうしたことをしてもというのだ。
「何もわからぬとのことです」
「左様か」
「室町幕府もです」
 代々の将軍達がというのだ。
「調べられ六代様なぞは」
「随分気性の激しい方であったな」
「それ故あの方は公家の方であられますが」
 武士より位が上だがというのだ。
「兵を出されてもとです」
「考えられたか」
「そうだったとか」
「ふむ、そうであったか」
「しかしです」
「六代様は赤松家に弑逆されておる」
 信長は歴史のことを言ってからだ、それであった。
 そのうえでだ、細川に対して述べた。
「実はか」
「確かにあの時赤松家は六代様に追い詰められていましたが」
「それを操ったのはか」
「そうかと」
 こう言ったのだった。
「確かなことはわかりませぬが」
「そのことはそなたの考えじゃな」
「はい、あくまで」
「そうか、しかしその考えはな」
 信長はその直感から述べた。
「間違いなくな」98
「事実ですか」
「おそらくお主だから気付いたことであるが」
 細川の宮中や都への知識の深さそしてその頭の冴えによってというのだ。
「他の誰もな」
「気付きませんでしたか」
「おそらく六代様位がであろう」
「高田家を滅ぼそうとしたのは」
「おそらく他の御仁は滅ぼす理由をつけようにもつけられなかったのじゃ」
「だから滅ぼせなかったのですな」
「そうしゃ、しかしな」 
「六代様は理由もどうでもいい方だったので」
「それで動こうとされたが」
 そこでというのだ。
「滅ぼされたのじゃ」
「そうなりますか」
「うむ、しかし思うことは」
「それはといいますと」
「六代様は非常に問題があった」
 足利義教、彼はというのだ。
「非常に短気で粗暴であられたな」
「そう言われていますな」
「無闇に殺生をされた」
「その為多くの者から疎まれていました」
「それではじゃ」
「何時かはですか」
「赤松家が操られずともな」
 それでもというのだ。
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