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戦国異伝供書
第二十九話 安土入りその七

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「我等と同じく忍びその術を使う」
「世に言われる忍じゃな」
「ですが百地殿の下におる者達は」
 伊賀者でもというのだ。
「妖の術を思わせる」
「そうした術を使うな」
「どうやら、不気味な者達です」
「明らかに他の忍達と違うな」
「十勇士や飛騨者達も違いますが」
 普通の忍達はというのだ。
「百地殿の下にいる者達とは別の意味で」
「そうじゃな、あの者達は図抜けておる」
「そうした意味で違いまして」
「あの伊賀者達は言うならば異形じゃ」
 信長は彼等をこう看破した。
「得体の知れぬな」
「まことの意味で妖しい」
「そうした者達と思う」
「ううむ、忍術ではなく妖術ですか」
「それに近いな、そして妖術を使う者達は」
「妖術、妖しき力ですか」
「左道じゃ」
 言うならばというのだ。
「そうした力を使う者達なぞじゃ」
「まともな者達ではない」
「そう思う、だからじゃ」
 それでというのだ。
「若し機会があればな」
「その時は」
「そうじゃ、伊賀に兵を送り」 
 そのうえでというのだ。
「あの辺りを平定するか」
「百地殿も」
「うむ、必要とあらばな」
「討ちまするか」
「妖しき者達なぞ放っておけぬ」
 到底とだ、信長は述べた。
「それが噂ならともかく間違いないとな」
「ましてそれを天下を乱す為に使うなら」
「放っておける筈がない」
「若し百地殿がそうした御仁なら」
「それがわかればな」
 その時はというのだ。
「必ずじゃ」
「大軍を送り」
「滅ぼす」
 その様にして平定するというのだ。
「そしてじゃ」
「天下の禍の種を摘み取りますか」
「そうしておく、しかしどうもな」
 信長が袖の中で腕を組み述べた。
「この天下には常にな」
「妖しい者達がですか」
「おる様に思える」
 こう言うのだった。
「闇の中におる様なな」
「あの崇伝や天海の様な」
「そうじゃ、あの者達にしてもそうでな」
「百地殿も」
「そして朝廷に参上した時も」
 この時もというのだ。
「妙なものを感じぬか」
「それは」
 蜂須賀も官位を持っている、信長を通して朝廷から授けられた者で彼は常に身に余る光栄だと思っている。 
 しかしだ、それ故にだった。
「大抵の公卿の方からは感じませぬが」
「時折な」
「妙なまでに」
「感じるな」
「はい」
 その通りだとだ、蜂須賀も答えた。
「どなたからか」
「公卿、そして公家の方は大抵覚えておるが」
「お名前もお顔もですな」
「家もな、しかし高田家という家じゃが」
「あの家ですか」
「あの家は何じゃ」
 信長は蜂須賀に怪訝な顔で問うた。
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