士郎くんの戦訓 5/5
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しの包帯を眼に巻いていた。死神の通り名に偽りのない、死を具現化させたような彼は、シエルと知り合いらしく士郎らに牙を向ける事はなかった。
士郎は提案する。アインナッシュの実に興味はない、滅ぼしに来ただけだ。協力しようと。シエルの説得もあり、一時的に共同戦線を張った彼らは特に山場もなくアインナッシュを滅ぼした。
本名は遠野志貴というらしい。彼は直死の魔眼を持ち、真祖アルクェイド・ブリュンスタッドの守護者をやっているという。彼の能力により死の点なるモノを突かれたアインナッシュは滅んだ。その問答無用の必殺ぶりは、死徒狩りには持ってこいだった故に仲間に勧誘したが、すげなく断られた。
しかしもし今後出くわすような事があれば、敵対する事はしないという約束だけは取り付けられたので良しとする。士郎としても無闇に敵を作る趣味はない。それに元々、志貴は単独で動いた方が高いパフォーマンスを発揮するタイプのようだった。ルヴァレという死徒を狩りに赴いた際には先を越され、志貴が仕留めていたのだ。
『――次は大物だ。死徒二十七祖、十七位「白翼公」トラフィム・オーテンロッゼを仕留める』
アジトにて。リストにナイフを突き立てる。
死徒の王の一角。その勢力を焼却する。士郎達の一団は、標的として遂に死徒の王を狙えるものとなっていた。エンハウンスはにやりと好戦的な笑みを浮かべる。何やら含むものがあるようだが、それは語られはしなかった。
先日、死徒ルヴァレを狙ったのは、その死徒がトラフィムの勢力に属していたからだ。士郎達は真っ先に死徒の王を狙う事はせず、その勢力に属する死徒を優先的に狙った。
士郎は既に、バゼットらに全幅の信頼を置いていた。故に己の能力についても話している。その上で必殺の戦術を編み出していた。
前衛のバゼットとエンハウンスが切り込み、シエルが中距離から黒鍵を投擲して穿ち、或いは結界を用いて死徒を『括る』。そして遠距離から援護に徹する士郎が、トドメとして投影宝具の偽・死棘槍を撃ち込む。もしも獲物が強力な切り札を切ってこの流れが作れなくなったら、バゼットの『斬り抉る戦神の剣』がカウンターを放ち、獲物の切り札をキャンセルさせ、エンハウンスの魔剣アヴェンジャーで斬り、聖葬砲典の砲撃を浴びせ、シエルが結界で括る。そして最後はやはり士郎の投影宝具で確実に仕留める。――この流れが必勝戦術であり、嵌まれば死徒の王であっても殺せるだろう。現に祖ほどの力がなくとも充分に強力な死徒は、全てこの戦法でキルスコアを確実に稼いでいた。
しかし数多の成果を上げ、死徒や魔術師の骸を時計塔に流して、魔術世界に威名を轟かせている士郎達といえども、死徒の王は一筋縄でいく手合いではなかった。この戦いの相手は単独の個ではない。一つの陣営を統べる王が相手であり、黒翼公
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