士郎くんの戦訓 5/5
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いに赴く際には決して欠かせない赤原礼装が贈られる事となった。
『で、俺の分の迷惑料だが。――今後教会からの指令がない限りは、俺達と行動を共にし続けろ』
『そ、それはっ!』
『カレー……毎日作るのになぁ……』
『貴方が私のリーダーです』
大丈夫かこの代行者と、バゼットすらシエルを心配した。呆れて物も言えないようである。
士郎も苦笑を隠せないでいるが――ともあれ、士郎を含めると同志はこれで四人となった。戦力が充実しているが――この一団には、まだ新たに加わる者がいた。
死徒狩りは、いよいよ佳境に入る。
士郎とシエルが情報を集め、多角的に分析しながら狩りの獲物を探す。リストアップした死徒二十七祖、既に滅んでいるものや封印されているものを除けば、その殆どが極めて強力な個体ばかりである。
シエルが加わって以来、数ヵ月の間に四体もの死徒と、五人もの魔術師を屠った。苛烈にして電撃的な活動に、士郎らの一団は魔術世界に戦慄を齎す。在野の魔術師の研究は鳴りを潜め、犠牲を出さない傾向に傾く。何せたった一人の不審死、行方不明からすら足取りを掴まれた者もいたのである。彼らの存在は抑止とすらなり始め、時計塔のロードすら一目を置いた。
各地に点在するアジト、その一室にて、士郎は顔写真つきのリストにナイフを突き立てる。
『――次の標的は活動を再開した死徒二十七祖、第七位「腑海林アインナッシュ」だ』
その正体については、シエルから聞き及んでいる。一行の知恵袋がシエルなら、分析し行動指針を立て、作戦を立案するのが士郎である。
誰よりも早く情報を掴んだ士郎は、アインナッシュの活動再開の情報を、魔術協会と聖堂教会にリークする。どうせ独自に知る所となるのなら、こちらから先に報せて恩を着せると共に、彼らの行動するタイミングを予測し易くする狙いがあった。
アインナッシュは生物ではなく吸血植物だ。森林一帯そのものがアインナッシュであるという。通常通りにやって滅ぼせる手合いではない。その核となるものを探し出す必要があった。
また魔術協会や聖堂教会はアインナッシュに生る実を求め、他にも在野の魔術師もやって来る可能性は大いにある。士郎はアインナッシュを滅ぼす手立てを立てられなかった故に、やって来る双方の勢力を利用するつもりでいた。
相手が知性のない存在なら、それは戦いではなく作業である。
油断も慢心もない。しかしながら一切の気負いもない。そうして――その地にて、士郎達はその『死神』と遭遇した。
曰く、死徒狩りの死神。またの忌み名を『殺人貴』という。真祖の吸血衝動を抑制する為にアインナッシュに生る実を求めて来たという彼は、士郎よりも幾つか年若い。
瞬く間に封印指定の魔術師『フォルテ』を打ち倒した彼は、魔眼殺
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