士郎くんの戦訓 5/5
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は感心する。
『大したもんだ。旨かったぜ。こんなに旨いピザは食った事がねえよ。何か秘訣でもあるのか?』
『ああ、ピザの生地、焼き加減、調味料。全てにコツがある。材料は全部一から手作りだしな。なんなら解説してやっても――』
『――衛宮くん。お話があります』
唐突にシエルは席を立った。ゆらりと幽鬼の如く立ち上がり、黒鍵を抜き放つ。何事かと身構える士郎に、シエルは先刻の十八位の祖をも圧倒的に上回る威圧と共に告げた。
『貴方はカレー・マスターと成り得る世界の宝。無為な戦いで命を、腕を損なう危険があるのは余りに惜しい。――カレー愛好家の名の下に貴方を拘束します。永遠にカレーを作り続けなさい! それが貴方の生まれた理由、背負った使命!』
『お前は何を言ってるんだ』
黒鍵を突きつけ、目をぐるぐると回して言うシエルに、士郎は真顔で反駁した。なにゆえに錯乱したのか、士郎を捕縛せんとするシエル。理解不能だが限りなく本気であると悟った士郎はシエルと戦闘に移ってしまった。
辺りの設備を破壊しながらの激闘は、帰ってきたバゼットを交えエンハウンスと士郎の三人掛かりでシエルを取り押さえるまで続く事となった。寧ろ三人掛かりでも負けそうになるほど凄まじい力だった。明らかに本来の実力以上の力を発揮していたのは何故なのか。
「私はダメな代行者です」というプラカードを首に提げさせられたシエルを正座させて、士郎は嘆息する。真剣に身の危険を感じた為か、冷や汗が止まらない。なんて下らない戦いだったんだ。負けていたら確実に監禁されていたと確信した。
シエルは冷静になったのか肩身が狭そうにして反省している。しかし士郎が『もうカレー作るのやめようかな』と呟くと、シエルは必死に思い留まらせようと説得した。
『そんな勿体ない! 衛宮くんのカレーは正に絶品でした、それをもう作らないなんて……! 世界の損失です、世界遺産が悪趣味な蒐集家の蔵に死蔵されるようなもの! なんでもしますからそんな事を言わないでください……!』
『ん? 今、なんでもするって言ったよな?』
『あっ』
士郎はにっこりと笑顔を浮かべた。シエルは失言に気づく。
『バゼット、エンハウンス、何か要求は?』
『は。なんだこの茶番? いや、いいけどな。なら死徒に有効な銃でも貰いたいね』
そうしてエンハウンスは、シエルから教会製の長銃型概念武装「聖葬砲典」を譲り受ける事に。
『私からは特に何も。ただ今後、このような事がないようにして下さい』
『バゼットからは特になしか。ならバゼットの分の迷惑料は俺が貰うか』
特に要求のなかったバゼットの代わりに、士郎はかねて自身の対魔力の低さを懸念していた事から、彼女から外界への護りとなる聖骸布を手配して貰う事に。以降、士郎が戦
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