士郎くんの戦訓 5/5
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やって来たのだ。
シエルはその話を簡単に信じた。というのも、聖堂教会でも士郎の名は広まっているらしい。
聖杯戦争の経緯、それからの海外での活動。最近は精力的に魔術師狩りを行い、特に聖堂教会よりも先に死徒を探し当て滅ぼす情報収集力、居場所を割り出す分析力、実際に討滅に移る行動力は話題になっているとか。
金銭目的の俗物とは一線を画する、ある種の執念によって行動するフリーランスの魔術使い。時計塔が誇る最強の封印指定執行者、バゼット・フラガ・マクレミッツを引き抜いてからは、さらにその効率と撲滅運動が加速している。聖堂教会は彼らの活動を黙認し、利用する気でいるらしい。
シエルとしては死徒を撲滅する志には共感するものがあるらしい。エンハウンスに表立って協力は出来ないが士郎は人間故に共同戦線を張るのも吝かではないと言った。
連絡先を交換し合う。これから先、戦場を共にする事もあるかもしれませんね、と。薄い笑みを交換し合い、その場は別れる――といった所でバゼットが合流した。士郎が居場所を調べ上げた在野魔術師を速攻で斃し、その足で急行してきたらしい。まるで飼い主に懐いた猟犬の如き様子に苦笑した士郎は、バゼットにシエルを紹介して、和やかに別れ――
『シロウ、ところで今夜の夕食は……』
『カレーだ。一晩寝かせたし、美味しくなってるぞ。保存もばっちりだから食中毒の心配もない』
『――』
『楽しみです。一流シェフも絶賛するシロウが、旨くなっていると自信を垣間見せるとは。今から待ち遠しい。さあ早く帰って夕飯としましょう。エンハウンス、貴方は?』
『オレか? あー……そうだな。ピザなんか作れるか?』
『ピザか。カレーに浸して食するのも乙なものだろうし、一品追加するのもいいな。よし、任せろエンハウンス。歓迎の印として振る舞おう』
『――待ちなさい。その夕餉、私も同席させてもらいます』
は? と。士郎はシエルの唐突な通告に振り返る。そして引いた。振り返った士郎の目の前に、シエルの据わった目があったのだ。
恫喝するかの如き声音と迫力に、思わず首を縦に振ってしまう士郎である。まあ今後共に戦う事もあるだろう存在だ。特に拒む理由もない。腹が減ってたんだろうなと呑気に受け入れた。
早く行きますよと急かすシエルに首を捻りつつも、士郎は新たに仲間に加わったエンハウンスも自分の拠点に案内した。
『――これ、は……』
そして、実食。士郎の調理したカレーを口に運んだシエルは言葉を失っていた。その様子に得意満面になりつつも、士郎は焼いたピザを勧める。それをカレーに浸して更に一口。
シエルが綺麗に完食する頃にはエンハウンスとバゼットも食事を終えており、バゼットは食後の運動の為にジョギングに出ていた。エンハウンス
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