士郎くんの戦訓 4/5
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。エンハウンスの魔剣は特に警戒され、士郎の射撃は必要経費とばかりに無視される事すらある。変身能力で躱される頻度も高くなっていた。
流石の不死性、容易にはいかない。圧していても油断すれば一瞬でひっくり返されそうだ。これが祖か、と士郎は嗤う。――冬木の聖杯戦争で見たギリシャ最強、伝説のアーサー王、アイルランドの光の御子と比べれば、まだ可愛いものだ。
彼らが相手だったならば、既にエンハウンスと士郎は斃されている。容易ならざる相手とはいえ戦いが成り立っている時点で――士郎は相手を仕留める算段を立てられていた。
元々死徒の不死性が如何に厄介かを知悉している士郎である。その対策を何もしていない訳がなく。対死徒の切り札を用意しているのも当然だった。
『決めに行く。陽動を頼んだ』
『――いいぜ。オレだけでも殺れたが、アンタの力を見ておきたい』
士郎はエンハウンスになら投影魔術を知られてもいいと判断していた。
半死徒である時点で、魔術協会や聖堂教会に加われる道理はない。組織からの外れ者となるのは自明。ならば彼から漏れる恐れは低く、もしもその危険があると判断すれば、口封じをするまでの事である。
士郎は宝具を投影する。飛びっきりの不死殺しを。
完全な複製品ではない。機能の半分を削り、形状を改造した、士郎独自の手が入った改造宝具。剣ではない、故に魔力負担は大きいが、これまで宝具の投影を多用して来なかった故に、冬木での戦い以上の負荷もない。
黒弓につがえるは真紅の矢弾。長大なそれが迸らせる禍々しい魔力の奔流に、十八位の祖は目を見開いた。宝具を投影しただと、と。にやりと嗤い、士郎は真名を解放した。
『――偽・死棘槍』
形状は短槍。矢とすれば些か長いが、射出に支障はない。必中の呪詛は削り落とした。故に射手が狙いを外せば中りはしないが、士郎の矢は射つ前に中っている。イメージが磐石ならば必中だった。
真作に近く再現したのは、その必殺の呪詛。例え聖剣の真作でも殺しきれぬ不死でも殺し尽くす絶殺のそれ。
「へぇ、悪くねぇ出来だな」
士郎の投影した槍の真作の担い手が感心したふうに溢す。自身の宝具を投影されても特に気にした様子がないのは、クー・フーリンの感性では武器は武器でしかないからなのかもしれない。
だがこれ以上なくその矢は効果的だった。
真祖をも不死性で上回る『混沌』すら屠る魔槍は、真祖より劣る不死の祖の心臓を抉り、即死させる。
斯くして祖の一角を滅ぼした士郎は、エンハウンスと今後を話し合った。エンハウンスは言う、死徒を殺し尽くすと。士郎も言う、なら俺と来ないかと。目的は同じである。自分ならエンハウンスだけでは殺し尽くせないモノも殺せると。
エンハウンスは
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