士郎くんの戦訓 4/5
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彼女の家は、神代から伝わる数々の魔術、宝具や秘宝を保持する名家だが、頑として外部との繋がりを断っていた。バゼットが家督を継いでから魔術協会の門を叩いたが、権威はあっても権力のない彼女を持て余した魔術協会は、封印指定執行者として便利使いしていたのだ。
謂わば厄介者である。魔術協会は士郎の齎す利益故に、彼の覚えがめでたかったのも手伝って交渉は成立した。
『まさか、貴方と行動を共にする事になるとは思いもしませんでした』
『謝らないぞ。俺は俺の道を行く為に、アンタの力が必要だった』
『構いません。これも仕事です』
相棒となった二人だが、意外にも相性は良かった。
互いに合理主義で、戦闘に於いてはバゼットが前衛を、士郎が後衛を務める。役割と能力が噛み合い、阿吽の呼吸となるのに場数は必要なかったのだ。そして私生活に於いても、相性がよかったと言える。
彼女は生命活動が送れるのならば、どんな状況でも構わないとほとんどホームレス状態だった。食事を楽しむという意識も欠け、味や栄養は二の次で、食べ終わるまでの時間のみを気にしていたのだ。行きつけの外食店はチェーン展開された牛丼屋であるという有り様で、その理由は商品が出てくるまでの時間も、食べ終わるまでの時間も短いからというもの。服装も機能性があればよい。装飾は無用。娯楽にも疎い。おまけに己が女である意識も薄い。
相棒の惨状に士郎は激怒した。
ダメダメな相棒の身の回りを管理するのも相棒たる者の務めとばかりに、規則正しい食生活を提供し始める。同じ屋根の下に暮らし、朝から晩までの料理を作りバゼットに振る舞った。
最初こそ、それこそハンバーガーでもいいなんて宣っていたダメな女だったバゼットは――しかし、故にこそ士郎に胃袋を掴まれた。
『そん、な――』
バゼットは落涙した。
『私は、貴方に出会うまでの人生を、全て台無しにしていた――!』
貧相な食事を思い返し、バゼットは悲嘆に暮れた。こんなバカな事が、と。もうシロウのご飯しか食べたくありませんとまで――依存した。
人生経験が偏っている事から、出会った男性に片っ端から惚れ込むほれっぽい面があったバゼットである。傍目に見ても明らかなほど士郎に入れ込んでいるのが明らかだった。
中身はアレだが、外見は美女である。士郎もまんざらではなくて――
「……」
冷淡な目でそれを見守る、アルトリアとオルタである。気持ち、マシュの目も冷たい。
何故歩む、修羅の道を! エミヤはもう色んな意味で見ているのが辛かった。
『し、シロウっ』
『ん?』
『どうしてですか!? どうして……!?』
そんな中、士郎はバゼットと別行動をする事になった。祖の一人の根城を探り当て、そこに殴り込むのに
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