士郎くんの戦訓 3/5
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抜いて投擲。莫耶に吸い寄せられ獅子頭の眉間に突き刺さる。
白野を取り落とし、倒れ伏した瞬間に対物ライフルを捨て駆け出して、士郎は白野を救出した。――息は、ある。まだ生きている。生きていなければ命を、魂を喰らえない故に当然だ。安堵して気は抜かない。士郎は白野を抱えて女の傍に移動した。
『あれは――』
『俺は伝承保菌者だ』
女が干将莫耶が宝具である事を悟ると、それについて何かを言われる前に伝える。虚偽だ。宝具を投影するなどと知られる訳にはいかない。
執行者がいるという事は、この死徒は封印指定の魔術師の元人間なのだろう。知られた瞬間に、士郎もまた魔術協会に追われる身となるのは目に見えていた。まだ伝承保菌者扱いされる方がマシである。
『俺は衛宮士郎。フリーランスの魔術使いだ。あんたは?』
『私は――』
士郎の死角から襲い掛かってきた羆の頭部を女が拳の一撃で粉砕し、女の死角から迫ってきた虎の頭部を士郎が拳銃で撃ち抜く。女は名乗った。
これより先、長く共に共同戦線を張る事になるその名を。
『バゼット・フラガ・マクレミッツ。封印指定の執行者です』
暗闇故に、顔は見えなかったが。その名に、頼もしさを抱く。
『聖杯戦争の覇者と肩を並べる事になるとは、奇遇ですね』
『――こちらの台詞だ。話は後だ、奴を仕留めるぞ、バゼット!』
バゼットの死角になるように体の向きを変え、反対の手にもう一挺の拳銃を投影する。死徒がもがきながら干将莫耶を抜き、それを地面に捨てた。血走った目が睨み付けてくる。
負ける気は、まるでしなかった。
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