士郎くんの戦訓 3/5
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穿たれ、地面が無惨に抉られている。耳を澄ませば死闘の気配を感じ取れた。魔力の高まり、凄絶な魔獣の咆哮、立ち上る血の臭い。逃げられないと察したのか、それとも勝機を見いだしたのか、死徒が戦闘に踏み入ったのだろう。代行者と執行者が共闘している可能性がある。
追跡していた際の痕跡と、この近辺に散らばる死体の数からして、代行者・執行者の生き残りは三人か二人――或いは既に一人になっているかもしれないと感じる。
ならばそんな怪物に士郎が単独で当たったところで勝機は殆どないだろう。かといって退く事は選択肢としても存在しない。救援に来たフリーランスの魔術使いという線で、横槍を入れるのが最善だ。
ここまでで消耗していた対物ライフル、デザートイーグルの弾丸を投影し、装填。弾丸、銃身を強化し、耐久力と破壊力を向上させる。対人としては元より過剰火力なそれを、だ。
相手は物質を伴った存在。霊体のサーヴァントではない。故にこの手の武器も通用する。肉体を破壊する一点に於いては。
戦闘の現場に辿り着く。即座に周囲の状況に目を走らせながら士郎は拳銃を口に咥える。対物ライフルを両手に構え、片膝をつき、全身を強化して無茶な態勢での狙撃を行う準備に入った。
開けた空間だった。湖がある。その畔で、一人の女が戦闘を行っていた。人間の無惨な死体が二体転がっている。既に壊滅していたのか。死徒は人間の形態を逸脱し、都合三体の魔獣を使役している。本体は全長三メートル、体重三百sはありそうな、筋骨隆々かつ二足歩行の獅子といった姿をしていた。三体の魔獣はそれぞれ、羆、虎、大猩々である。
何故逃走を選んだはずの死徒が戦闘に突入したのか。
敗色濃厚だったからではないのか? そしてその要因がなくなったと判断したから戦っている。その要因とは? 先程と異なるのは、戦場。そして人間側の数。少数精鋭には勝てると踏んだ? この場所なら勝てると? 後者は考え辛い、流水を克服出来ない死徒が、わざわざ湖の畔を戦場に選ぶ意義がない。ならば数か。
だが質で言えば、代行者や執行者は、決して聖堂騎士団に遅れを取らない。では比較するに、代行者や聖堂騎士の違いは? ――死徒が恐れているのは討伐する装備ではなく、己を封印出来る結界を警戒しているのだろう。それほどに、己の不死性に自信があるのかもしれない。
女が軽快なステップを踏み、革手袋に包まれた拳を振るう。一閃、二閃。稲光のように鋭く迅い拳の軌跡が嗜虐心も露に襲い掛かってくる死徒の腕を弾き、顎を下からカチ上げる。
獅子を象る頭部が破裂するほどの拳撃。されど女はバックステップで素早くその場から飛び退いた。死徒は頭を潰された程度では死なないのか。瞬く間に頭部が再生する。虎、羆、大猩々の三体の魔獣が女を襲う。それらを捌きながら女は立ち回り、着
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