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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの戦訓 2/5
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見届ける。

 士郎が後に残したのは、食糧の配給、建築学、団体の維持の方法や外部組織との交渉のノウハウだ。立ち去る間際、士郎の設立した団体の代表を務める事となる女性は士郎に縋りついた。あなたを愛しています、と。滴を眦から滲ませ、微笑む女性は美しかった。

「……」

 アーチャーはこめかみを揉み、脂汗を額に浮かばせて目を背ける。切嗣はソッと目を逸らした。

「あなた? どうかしたのかしら」

 鋭敏に切嗣の気配の変化にアイリスフィールが気づく。しかし切嗣は、頑として口を開く事はなかった。

 視点が暗転する。場面は空港だった。士郎はその地を離れるのである。そして士郎はヨーロッパに飛んだ。
 特にこれといって目的があった訳ではない、ちょっとした療養の為だった。自然豊かな土地で、これまでの疲れを癒すつもりでいた。
 それが転機だった。士郎の戦いが、常識の世界から、非常識の世界へと反転する、ターニング・ポイント――

『しーろーうーさんっ! 遊んで! 構って!』

 後ろから駆け寄ってきた幼い少女が、満面の笑みで士郎の腰に抱きついた。士郎は苦笑して、その娘の頭を撫でる。何故か、どこに行っても子供に好かれていたから、こうした事にも慣れたものだった。
 そしてその少女は士郎同様、旅行に来ていた日本人一家の一人娘であり。

 彼女は名を、岸波白野と云った。







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