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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの戦訓 1/5
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空いた時にイリヤちゃんと一緒に見てみなよ。士郎くんの集大成的な戦果だから」
「はい」

 ダ・ヴィンチは眼鏡を外す。そして苦笑した。
 首を傾げる美遊に、万能の人は肩を竦める。

「で、三つ目。――実戦の過酷さをキミ達に知らしめるのが最大の理由だ」
「……? わたし達も、それなりに修羅場を潜って来ました。それは、」
「分かってる。キミ達の話は聞いてるよ。だから決して馬鹿にはしてないし、命の危険があったんだから危機の軽重を論じたりはしない。私が言いたいのは、士郎くんは決してキミ達を特異点攻略に連れていく気がないって事さ」

 それに、イリヤはなんと言えばいいのか分からず、美遊も軽はずみな反発はしなかった。

「私は戦力になるなら、と思わなくもない。勿論子供が戦うなんて反対さ、けど自発的に戦うというなら止めはしない。なぜって? ――カルデアには、どれだけ戦力があっても、それで充分とは言えない危機的な状況だからだ。けどそんな理屈は士郎くんには通じない。子供は絶対に戦わせないだろうね、例え英霊だったとしても。
 だから私はキミ達に士郎くんの戦いを知ってもらう。これを見ても共に戦ってくれる気になったら、私は歓迎しよう。士郎くんは首を縦に振らないだろうけど、どうしようもない状況というのは常に想定しておくべきだ。それこそカルデアが滅びるという場面も有り得る。
 ――その時、子供を守る余裕はない。キミ達が元の世界に戻れるように努力はするけど、こちとら人理が最優先。キミ達の事は、申し訳ないけど後回しにしないといけないんだ。いざという時、キミ達は自衛しなくてはならないかもしれない。つまり短く纏めると、キミ達二人には覚悟を持って欲しいんだ。
 ――カルデアの戦いは、退路のない背水の陣。有事の際に、何よりキミ達を優先する余裕がないから、その時キミ達はどうするのかを考える助けにする為に、最も分かりやすい視覚で訴える。それがこの視聴会の意義だと、キミ達が誤って召喚された事を知った時に私は考えた」

 長々と語り、カルデアの窮状を隠す事なく伝える。イリヤの顔は真っ青だった。そして美遊は、考え込む。茫洋とした眼差しで桜は自身の手を見た。

 ダ・ヴィンチはわざとらしく咳払いをする。そして停止していた記憶映像を動き出させるべく、その杖を振るった。

「さあ、再開だ。残り二時間半、本当は後五時間は欲しかったけど。それはともかく、ダイジェストで見て行こうじゃないか。――希望があれば、もっと長いバージョンを個別に見れるようにするよ。それじゃ、スタート」

 





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