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人理を守れ、エミヤさん!
士郎くんの戦訓 1/5
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のモンに成長()ってやがる」
「未来を語れるのは、強さの証です。マシュ、その気持ちを忘れてはいけませんよ」
「は、はい」

 アイルランドとイギリスの大英雄からの、予想だにしなかった賛辞に、マシュは無垢に照れた。オルタは揶揄かう。

「確かに大したものだ。キリエライト、貴様はあのシロウと接していながら、シロウの濃さに染まる事なく在れている。兎のように気弱でありながら、獅子のような芯を備えているな。貴様が私の時代にいたならば、騎士として取り立てていただろう。無論、ギャラハッドの力を抜きにしての話だ」
「そ、そんな、オルタさんまで……」
「アグラヴェイン、貴様からは何かないのか」

 唐突に水を向けられた鉄のアグラヴェインは、表情にさざなみ一つの揺らぎもないまま応じた。

「特に何も。しかし騎士として遇するには、キリエライトは力不足。更なる修練が必須でしょう」
「チッ。つまらん男だ。実直なのは構わんが、硬軟を織り混ぜる事も覚えたらどうだ」
「……」

 しゅんと肩を落とすマシュを尻目に、理不尽な叱責を受けたアグラヴェインも微妙な面持ちだった。クー・フーリンが言う。

「テメェに言えた口かよ?」
「私は王だ。王ならば言える」

 暴君である。やれやれと肩を竦めたクー・フーリンをよそに、ダ・ヴィンチが手を鳴らした。

「はい休憩終了ー! 後半戦に入るよ、そろそろいいかな?」
「はい、ダ・ヴィンチせんせい!」
「お、何かなイリヤちゃん」

 着席して挙手したイリヤに、ダ・ヴィンチは柔らかな笑顔で応じた。
 ダ・ヴィンチを教科書で見ていたイリヤは、その偉人の容貌に驚いてはいたがすんなり受け入れていた。そして何故か先生と呼び始めたのだ。

「えっと、ここまででかなーり、お腹一杯なんですけど……ここから先は、流石に重くないですよね……?」

 平凡な一般人として最近まで育っていたイリヤには、既にキツすぎるものがあった。それは当然である。ショッキング過ぎた。しかしダ・ヴィンチは笑った。笑うしかなかったのだ。

「残念。こっからが本番なんだぜ、士郎くんは」
「えっ。今までのが序章に過ぎなかった……?」
『あははー。……え? この士郎さん、波瀾万丈過ぎません?』

 愉快型ステッキのルビーすら、マジトーンで返すほどだった。流石に人の不幸を見て笑う性悪ではない。
 美遊が挙手する。

「はい、美遊ちゃん」
「正直この視聴会の意義を見失いました。そもそも何故、おに――士郎さんの過去を観る必要があるのでしょうか?」
「あらら、核心突くね」

 ダ・ヴィンチは内心美遊への評価を一気に吊り上げる。というのも、ここまでの映像記録だけで当初の趣旨など覚えていられないものと思っていたのだ。
 何せ、彼
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