士郎くんとロマニくん
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のである。
つまり黒化英雄全般は、本来の英霊より遥かに劣る存在だという事だ。クラスカードとやらを媒介にして実体化していた為の劣化、という考察に落ち着く。
イリヤ達は実戦経験こそあるようだが、バゼットという人間レベルが倒せる程度の連中に、ああも悪戦苦闘していたのなら――はっきり言って、戦力として換算できない。足手まといと言えた。イリヤの特性上、火力だけなら一線級だろうがやはり……結論は変わらない。ランサーのクラスカードを使い魔槍を使うだけなら充分通用する場面もあるが、大体子供を戦わせるという発想が俺にはあり得なかった。
ロマニやダ・ヴィンチに、彼女達が元の世界に帰れるよう、至急手伝わせる必要がある。カルデアの召喚システムに召喚されたとはいえ、死んでも再召喚、或いは蘇生が可能な保障はない。またそれを確かめる事は断じて許されない。
故にイリヤスフィールや美遊は、何があってもカルデアでお留守番だ。桜もだが。
「……」
「……」
資料を読み耽っている俺のマイ・ルームに来客があった。扉が開き、閉じる音と、背後に気配。資料に目を向けたまま、言う。
「何か用か? ロマニ」
問い掛けると、ロマニは暫しの沈黙を経て、重苦しく頭を下げたようだ。
「ごめん」
「……何が?」
資料の束をテーブルの上に放り、回転椅子を回して座ったまま体ごと振り返る。
ロマニが深く頭を下げていた。素で聞き返すとその優男は懺悔するように呟く。
「全部だ。僕が君にした事、君がどんな目に遭ったか知っていながら、友人面をしていた事」
「……」
「はじめての、友達だった。だから――怖かったんだ。嫌われるのが。だから、知っていて、何も言えなかった。でもキミが――」
「ああ、待て。大体分かった」
ロマニが何故謝っているのかの理由を察する。
俺は嘆息した。第五次と、その再演によって起こった諸々に関してか。
長くなりそうだったので、ひらひらと手を振って簡単に結論だけ言っておく。
「俺はお前を恨んじゃいない」
「え……?」
「間違えるなよ? ソロモンは断じて許さん。目の前にいれば八つ裂きにしてやる。だがお前はソロモンじゃない。ロマニ・アーキマンだ。ロマニは俺の友人で戦友だろう。恨む訳がない。筋違いも良いところだ」
「なっ――そんな……」
絶句するロマニに、俺は苦笑する。俺をなんだと思ってるんだ、コイツは。
「お前の過去は、夢で何度か見た。自由意思なんて無かったんだろ? ならソロモンは道具だ。そして人間に成りたいと願い、お前になった。傀儡だったソロモンを恨みこそすれ、人間のロマニを恨む筋合いはない。もし誰かがお前に怒ったり、殴ろうとしてきたら俺に言え。俺がソイツを殴り返してやる」
話は終
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