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提督はBarにいる。
金城提督によるヒアリング調査【表】
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導員ならウチで準備してやる」

「あ……ありがとうございます!」

 新米君は入ってきた時よりは幾分軽い足取りで執務室を出ていった。これで少しはマシになればいいが。

「大淀ぉ、次〜」

「はいはい、呼んできますよ」




 次に入ってきた提督は提督に着任して5年目、実績も中々の少将だった。ブルネイ地域だと中堅の上の方……位だな。さっきの新米君とは真逆の見た目で、俺とはまた違うタイプの強面だ。俺はヤ〇ザの組長みたいな悪人的な強面らしいが、目の前のコイツは自分に厳しい武人っぽい面構えだ。こ〇亀の左近寺とか、北〇の拳のラオウ的な顔立ちといえばイメージが沸くだろうか。

「うん、相変わらずお前さんとこは安定した戦果を上げてるな」

「お褒めに預かり、光栄です。自分も閣下の後背を追う者として、日々精進に励む所存です」

 固い固い。横綱就任の挨拶かってーの。でもこいつは見た目通りに部下には優しく、自分に厳しい。安心して任せておける人間の一人だ。

「まぁお前さんには悩みなんざ無いと思うが……一応聞いとくか」

 俺がそう言うと、顔に影が差す。まさか、何かしらのトラブルでも起きてるのか?

「実は……最近、とある艦娘に命を狙われている気がするのです」

 艦娘による提督の殺害。起きた事はあるし、少なくない事件だ。しかしそれは所謂『ブラック鎮守府』での話で、提督の人権を無視した艦隊運営や暴力等に耐え難くなった艦娘達が反旗を翻し、自らの処分も覚悟した上で行う『反逆行為』だ。だが、後の捜査でその正当性が認められればお咎めは無い。『艦娘とて人間』というのは最初に艦娘の生まれた国である日本の政府の決定であり公式見解だ。それに従わない提督こそ国に反逆しているのだから討たれて当然、文句など言わせない。しかし目の前にいるこの男の鎮守府はウチ程では無いが訓練は厳しい。が、それは艦娘の安全を慮っての事であり、所属する艦娘達も了承の上での事だから問題ない。経営状況もホワイトそのものだし、何より糞が付きそうな程真面目なこいつが艦娘を辱しめるような事をするとは思えない。

「穏やかじゃねぇなぁ、オイ。詳しく聞かせろよ」

 後は疑うべきは、他国からの破壊工作か。極々少数だが、艦娘が外部との付き合いのある鎮守府だと、艦娘が男にたらしこまれて知らず知らずの内にスパイに仕立て上げられる事があるらしい。

「はい。実は、最近秘書艦の扶桑が側にいると、謎の発熱、不整脈のような激しい動悸、息苦しさ、目眩等に襲われるのです」

「……は?」

 おい、それってまさか。

「私は生きてきて26年、このような症状に襲われたのは初めての事。病気一つした事の無い頑強な自分が、このような症状に襲われる等、何か毒物を盛られているとしか……!
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