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憑依者の英雄譚
2話
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まま木刀を構え、打ち合いを始めた。

「オラ!」
「あっははは、遅いわ!」
「祖父ちゃんが速いんだよ!本当に年寄りか!」
「まだまだ、負けられんからの」

それから夕暮れまでひたすら打ち合った。
ーーそしてそれからまた七年の月日が経った。

「祖父ちゃん、俺オラリオに行くよ。もうここには戻っては来ないつもりだ」

祖父ちゃんの墓の前でそう告げる。俺が12才になって一ヶ月後にモンスターから村人を助けるために自ら殿を務めて帰らぬヒトとなってしまった。

「最初知ったときはとても悲しかったよ。たった一人の家族がいなくなってしまったんだから。でも、祖父ちゃんがよく話していたオラリオの事を思い出して、そこにいこうとも思ったよ」

食事が喉を通らない日が続いたある日ふと本棚を見るとオラリオを舞台にした英雄譚が目に入った。そしてよく祖父ちゃんが話していたことを思い出したんだ。

「夢に向かって歩いていくよ。この手紙にもそうかいてあるしね」

その本の最後の方に俺宛の手紙があったときは驚いたけど。

「さようなら、祖父ちゃん。どうか、俺を見守ってくれ」

俺はそのままそこを去り、オラリオへと向かったのであった。
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