暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第20話:Rockman
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
もしれない…“エックス”という名前には危険という意味もあるのだ。』

暗転。

場面が変わり、自分が老人と話せる最後の日だと…何となくだが分かった。

『すまないエックス…。お前を世の中に出してやるには、時間が足りなかった…ゴホッゴホッ!!』

更に窶れた老人は、掠れた声であの少年の面影を持つ最後の“息子”に詫びた。

そこまで言うと、老人は咳き込む。

医療に関して無知な今のエックスにも分かるくらい呼吸系の異常は明らかだった。

『ライト博士!!』

『わしはお前に悩み考え、そして進化を戦い取る力を与えた。だが、それをまだ解放するわけにはいかないのだ』

それは実質のエックスの封印宣告であった。

だが、エックスの中にあったのは恨みでも悲しみでもない、1つの決意だった。

『博士。私はこの力を正しいことのために使います。希望のために!!』

進化を戦い取るために与えられたバスターを胸に翳し、エックスは老人に、“父”を安心させるために誓った。

『ああ、もちろんわしもそう信じている。お前がその正しい心を持ち続けるということを。未来の人々が…世界がそう願うことを…』

エックスの言葉に老人は心から嬉しそうに笑った。

老人がカプセルの蓋が閉めてエックスの封印が始まったが、2人の顔に悲しみはない。

最後に残った菱形の窓に老人が顔を覗きこむ。

『博士…』

『さらばだ、エックス…ワシの…世界の希望』

それが最後の別れだった。

光が遠退き、意識が暗闇に落ちていく。

次の場面はハンターベースの屋上で隣にはVAVAとの戦いで大破したルインとの会話であった。

『うーん……でも私は、エックスのそう言う優しい性格も悪くないと思うよ。あのペンギン君やシグマ隊長達のような戦闘型よりも…君ならきっと違う視点でイレギュラーを見ることが出来るんじゃないかな?』

『え?』

『私もね、ケイン博士と同じようにエックスを信じてる…エックスならイレギュラーに対してのハンター達の指向も上手く変えてくれる可能性を…ね…』

『ルイン……』

『優しさが弱点になるなら私がそれを補ってあげるよ。私とエックスのコンビネーション。即興にしては上出来だったよね!!』

『うん。君が俺に合わせてくれたからね』

『エックスがバスターでイレギュラーを牽制して私が決める!!』

笑顔を浮かべながら言うルインにエックスもいつの間にか笑みを浮かべていた。

今思えばこの時からかもしれない。

彼女に惹かれたのは…。

彼女の無邪気な笑顔と言葉には何度も救われた。

更に風景が変わり、次の風景はVAVAとの最後の戦いの直後で大破したルインが弱々しい笑みで自分を見つめている。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ